急成長「インドネシア鉄道メーカー」の熱い現場 輸出車両で活況「INKA」、自動運転電車も製造
――ここ数年で、鋼鉄製からステンレス製やアルミ製車両の製造に移行したが、組み立て技術はどのように習得しているのか。
ディアン:過去に日立製作所からステンレスのスポット溶接の技術を導入してもらっている。また、KFW製造時には日本車輛での研修も行った。昨年も、ある日本メーカーがステンレス技術のトレーニングを行った。アルミに関しては技能実習の経験も生かされている。
――近年製造されているステンレス車両が、一般的には軽量なはずのステンレス製のわりに重いのはなぜか(客車で約40トンある)。
江本:SUS304(ステンレス鋼の種類の1つ)を使っているため、重くなってしまう。日本の車両で使われているステンレス、また日本のノックダウンで生産された車両やKFWはSUS301である。日本で技術を学んだとおりにやりたいが、鋼体の納期が遅い(プロジェクトの都合でINKAの受注~納品までの期間が短い)ため、仕方なくSUS304を使っている側面がある。
新工場はどんな施設に?
――ジャカルタ向けの通勤電車の製造は可能なのか。
江本:理論上はできる。ただし、軽量化は必須である。また、寿命や安全性についても、しっかり設計しなければならない。
――フィリピン向けとインドネシア国内向けの車両デザインが似ているが、INKAの車両はレディーメイドで生産しているのか。
ディアン:レディーメイドではない。発注元の要求に基づいて製造している。
――日本車輛製造や、REKA(INKA設計部門の子会社、住友商事・日本車輌との合弁)との関係性は。
ディアン:現在、技術および設計支援はない。 2018年に3Dモデリングの研修があったのが最後。
――現在ジャワ東部に建設中のバニュワンギ新工場について、提携するシュタドラーとの協業は?
ディアン:現段階ではまだお話しできることはあまりないが、現在工場の基礎工事を行っている。土地面積は88ヘクタールで、テストトラックを有するため、KAIの営業線を借りずに試運転ができるようになる。なお、マディウン工場は引き続きINKAの工場として残る。バニュワンギは輸出向けという位置づけである。
江本:国が工場周辺に中小企業を誘致して、テクノパークのようにする構想があるようだ。裾野産業が広がればいいと思う。
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