アメリカ人が「冷凍ポテト」の確保に困っている訳 店頭で品切れなのに農家は作物廃棄のチグハグ
スーパー用冷凍フライドポテト大手、クラフト・ハインツ傘下のオレアイダは、供給拡大を急いでいる。クラフトの広報担当者は「オレアイダの工場は需要に追いつくため、フル稼働している」と述べた。
一方で、ファストフード店向けに冷凍フライドポテトを納入するマケイン・フーズやシンプロットといった業者は、農家へのジャガイモの注文をキャンセルしている。
農家や専門家によると、こうした業者の冷凍庫はフライドポテトやハッシュドポテトで満杯で、倉庫の棚はジャガイモでぎゅうぎゅう詰めだ。
米国のレストランは40%が休業中で、学校も休校、ホテルや職場も閉まっているとあって、業者の需要は減少した。ファストフード店はドライブスルー店舗しか営業していない。
農家のピンクさんは、ファストフード店向けの卸売業者から1000エーカー分のジャガイモの注文をキャンセルされた。これらを育てるのに既に250万ドル(約2億6900万円)を投資済みだが、誰かに販売する準備を整えるには、あと150万ドル(約1億6140万円)かかる。育ったジャガイモは砕いて地中に埋め戻さざるを得ないかもしれない。
「投資を続けるべきか、投資を止めて損失を最低限に抑えるべきか。ひどいもんだ」
大量のジャガイモと加工品が目詰まり
全米ジャガイモ協会によると、現在7億5000万ドル(約807億円)ないし13億ドル(約1398億8000万円)相当のジャガイモと加工品がサプライチェーンで目詰まりを起こしている。
ラボバンクの食品アナリスト、JP・フロッサード氏は「こんなことが起こるとは、だれも想像できなかった」と語った。
コンサルタントや小売業者によると、トイレットペーパー、清掃用品、食肉などは、飲食店向けの商品が小売業者に流れるようになったが、他の多くの商品はまだだ。
米国では大半の飲食店事業者がスーパーマーケットと接点を持たず、そのことが問題を深刻化させている。国際飲食業物流業協会(IFDA)のマーク・アレン代表は、供給先を変えるのは「非常に骨の折れる仕事だ」と指摘。需要の先行きが不透明なため「投資を正当化しにくい」と話した。
(Lisa Baertlein記者)
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