岩田健太郎「世界中がコロナ甘く見ていた理由」 7番目のコロナは「時限爆弾」のようなもの

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パンデミックとは「世界中で感染症が流行している状態」という意味です。2009年に、当時「新型インフルエンザ」と呼ばれたウイルスの感染がメキシコで発生して、カナダ、アメリカ合衆国、さらに全世界に移っていき、最終的にはパンデミックと呼ばれました。あれと同じことが2020年に起きているというのが現状です。

今回のコロナウイルスを、日本ではよく「新型コロナウイルス」と呼んでますね。じつは、今回のウイルスの名称についてはいろんな議論があって、2020年3月の時点では正式なウイルスの名前は付いていません。

ウイルス学者の間では「SARS–CoV–2」という名称が使われていますが、必ずしも全ての関係者の間でコンセンサスが得られているわけではありません。

ぼくたち感染症の専門家も「新型コロナウイルス」と呼ぶことが多いです。「SARSのようなコロナウイルス」みたいな呼び方をしていることもあります。

ウイルスが引き起こす病気には「COVID-19」という名前が付いているので、そちらを目にすることも多いかもしれません。COVIDとはCoronavirus disease の略で、コロナウイルス感染疾患、みたいな意味合いです。それに2019年のを付けてCOVID–19というのが病気の名前になります。

新型コロナの「非常にヤバい特徴」

今回の新型コロナウイルスによる臨床症状と一般的な風邪の臨床症状を比べても、「最初の症状はほとんど変わらない」といわれています。「微妙な違いがある」という意見もあるにはありますが、症状だけで完全に区別するのは難しいです。

多くの人は感染しても全然症状がないままに終わってしまうし、症状が出ても喉が痛いとか、咳が出るとか、微熱が出るとかの軽いもので始まって、1週間ぐらいそんな症状が続き、8割の方はそのまま治ってしまいます。

残りの2割の方は症状が出てから1週間ぐらい経つとだんだん症状が悪くなり、息が苦しくなる気道感染の症状が出てきます。

2002年に流行したSARSや、典型的なインフルエンザの場合は発症初期からドーンと症状が出ます。でも新型コロナウイルス感染症の発症初期の症状は、ほとんど風邪みたいなものです。

じつは、これは非常にヤバいことなんです。

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