【産業天気図・電子部品】携帯、デジタル家電の販売上向くが、価格下落きつい、10年9月まで「曇り」続く

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  09年10月~10年3月    10年4月~9月

電子部品業界は、10年9月まで終始「曇り」が続きそうだ。携帯電話やノートパソコンなどデジタル家電などの販売が上向いてきたことが回復要因だが、かつての高い伸びを回復するかは未知数だ。 
 
 「デジタル製品の売り上げが期初の想定以上に力強い回復となり、部品需要は順調に拡大した」(京セラの久芳徹夫社長)。電子部品業界は受注の底入れ感が鮮明だ。
京セラ<6971>や村田製作所<6981>、日本電産<6594>など大手各社は、09年7~9月期の受注が4~6月期を大きく上回った。中国需要が牽引し、薄型テレビや高機能携帯電話向けが増加。高機能携帯電話には一般的に、セラミックコンデンサーが300個以上、表面波フィルタも10個以上搭載されており、部品業界への波及力は高い。

ただ09年度の回復には、まだ不確定要素を抱えたままだ。世界の年末年始商戦がいかに動くかが、各社の業績を大きく左右する。電子部品の受注は、テレビメーカーなどが年末商戦用の部品を手当てする9~10月にピークを迎えるのが通例。そのため、年末商戦が大幅に落ち込めば、来年1月以降の受注が再び後退しかねない。また、電子部品は単価下落が続いていることも懸念材料。たとえば、汎用セラミックコンデンサーの場合、前年比約10%の値下げを強いられている。かつてコンデンサーは国内メーカー間だけの争いだったが、ここ10年ほどで台湾や韓国メーカーが一気に台頭。世界的な競争が激しくなり、製品の値崩れが止まらない。

とはいえ、各社ともに企業体質の強化に余念がない。派遣社員の削減や生産品目の集約化など、合理化を促進している。京セラは「アメーバー」と呼ばれる小ユニットごとの採算管理を一層徹底。村田製作所は4000人規模の派遣社員の削減を終えた。日本電産は永守重信社長の号令の下、「WPRプロジェクト」という構造収益改革をグループ全社に浸透させた。こういったコスト削減効果により、各社の業績は09年度後半から10年度にかけて着実に押し上げられるだろう。
(梅咲 恵司)

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