例えば、デンマークのフレデリクセン首相やノルウェーのソールバルグ首相、フィンランドのマリン首相は、テレビを通じて子ども向け記者会見を開催、質問に丁寧に答え、共感を集めた。
フレデリクセン首相はロックダウンの最中に、歌を歌いながら皿洗いをする映像をFacebookにアップしたが、炎上することもなく、そのユーモアが評価されている。アーダーン首相は、子どもを寝かしつけた後、部屋着姿で国民にライブ中継でメッセージを送り、国民を励まし続けている。助け合いや支えあい、連帯を訴え、人間の根源的な「力」や「愛」を想起させるメッセージは不安で寂しい国民の心を打つのだ。
もちろんエモーショナルなサポートだけではない、極めてロジカルに説明する力もある。メルケル首相は、1人の感染者が新たに何人を感染させるかを示す「再生産数」について「再生産数が1.1に上昇すれば10月、1.2になれば7月、1.3になれば6月に医療システムが限界を迎えてしまう」と、正確なデータを持って語り、国民を納得させた。
たった2つしかICUベッドがない人口4万1500人のカリブ海のオランダ領シント・マールテンのシルベリア・ヤコブス首相は危機的状況に「シンプルに言います。動かないで。あなたの家にパンがないなら、クラッカーを食べて、シリアルを食べて、オーツ麦を食べて、イワシを食べて」と呼びかけ、単刀直入で迫力ある語り口がネット上で大きな話題になった。
日本を根本から変える好機に
「女は感情的だから、難局など乗り切れるわけがない」。そんな偏見はいまだにあるが、こうした極めて冷静沈着で肝が据わった女性リーダーと、メディアの質問に暴言をぶちまけたり、キレて嫌味を言ったり、野党の質問にヤジを飛ばしたりする男性リーダーたちを比べると、果たして「感情的な性はどちらなのか」と問いたくなる。
そして、「女の嫉妬より男の嫉妬のほうが怖いですよ。男同士の嫉妬は国だって滅ぼすほどだから。嫉妬を女偏にしないでほしい」とわが国の「緑のカメレオン」小池都知事も形容していたが、たぶん、男の嫉妬のほうが女の嫉妬よりよほど、たちが悪い。
結局のところ、「女性がリーダーになるためには、男性より優れていなければならない。男性の半分でも真剣に受け止めてもらうために、2倍働かなければならない」(英The Guardian)というように、男性社会の中で上り詰める女性は超優秀であるということだ。そのあたりは、おじさんたちへの媚びが評価されるわが国の一部の女性政治家とはスペックが随分と違う。
もちろん、女性だけではない。例えば、ギリシャでは、ハーバード大学卒業、マッキンゼーの元コンサルタントという52歳のキリアコス・ミツォタキス首相が、混乱するヨーロッパの中で、大健闘し、評価を高めている。
日本でも、地方自治体の若手首長が実力を発揮し、注目を集めている。国政においても、しがらみのない女性や次世代のリーダーにバトンを渡し、日本を根本から変える好機とするべきではないだろうか。
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