人身事故が激減、東急の「全駅」ホームドア戦略 あの手この手繰り出して整備計画を前倒し

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東急はホームドア完備の早期実現には「創意工夫」があったと強調する。

その1つが「夜間回送列車によるホームドア一括運搬」。1ホーム分のドアを昼間に車庫で積み込んでおき、終電後に回送列車で設置駅へ運ぶ作戦だ。これにより通常は8夜にわたる作業を1晩に短縮することができた。「2000年のワンマン運転開始に伴う目黒線のホームドア設置の際に、協力企業から『安全で効率がいい』と提案を受け、各部署の協力で実現した」(多摩川工事事務所)という。

このほか田園都市線では、相互直通運転先を含めて車両改修が必要ない、ホーム上の列車検知センサーを活用した新たなホームドア開扉システムを導入。基礎部分の補強も効率的な工法を採用し、工事費の抑制と工期の短縮を図った。

ホームドアを回送列車で運搬

2018年8月25日の深夜、田園都市線・たまプラーザ駅の上りホームでは、最終電車の発車後にホームドアを乗せた回送列車(営業用の車両)が到着。待ち構えた大勢の作業員が手際よく設置作業に取りかかり、取り付けは3時間ほどで完了した。

実際、重量のあるホームドアをホームに取り付けるための補強工事は、以前から着々と進められていたが、駅利用者から見れば、ひと晩で見慣れたホームの光景が一変したことになる。

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