まもなく消滅、「ドアだらけ」通勤電車の功罪

ラッシュ時の混雑対策として期待されたが

東武20050型の引退で首都圏から多扉車が消えた(筆者撮影)

日本が人口減少時代を迎え、さらに最近では新型コロナウイルスの流行で、時差通勤やテレワークの推進が叫ばれているものの、相変わらず通勤ラッシュは存在する。

鉄道事業者としても数々の打開策を講じているが、その一つとしてドアの数を増やした電車(車両)を導入した時期があった。

ドアの数を増やした電車は「多扉車」などと呼ばれ、主にバブル景気の時代に首都圏の鉄道で広まった。近年では時勢の変化で次々と多扉車が消え、首都圏では東京地下鉄(東京メトロ)日比谷線・東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)の直通運転で使用されている東武鉄道の電車を最後に、2020年3月限りで首都圏から多扉車が消えたほか、関西でも京阪電気鉄道で長らく使われた電車が2020年度中に引退する。

多扉車って何?

東京や大阪など、大都市を走る電車では、片側に3カ所ないし4カ所の扉を設けているのが一般的だ。それに対し、扉の数を5つ・6つと増やした電車・車両が多扉車で、5扉車や6扉車とも呼ばれている。扉の数を増やすことで駅での乗降をスムーズにしたもので、その短縮効果は最大で10秒程度と言われている。

ラッシュの1時間に30本、つまり2分間隔で列車が走っている路線で、混雑によって駅での乗降時間が10秒ずつ延びたとすると、1時間に走っている列車の数は28本程度となってしまう。その結果、本来設定されている輸送力が減って混雑がさらに増すという悪循環に陥るため、多扉車を導入して本来の輸送力を供給させるという効果があった。複々線化やバイパス路線の整備など、抜本的な対策がままならない状況下での苦肉の策だったのだ。

大都市を走る多扉車の中で、日本で最初の車両は1970年に登場した京阪の5000系が最初と言えるだろう。5000系では5つの扉のうち、2つを「ラッシュ用ドア」として使用し、ラッシュ時以外は座席を設置しているが、収納している座席を扉の上から下ろす様子がSNSのツイッターで公開されて話題となった。

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