まもなく消滅、「ドアだらけ」通勤電車の功罪 ラッシュ時の混雑対策として期待されたが
横浜線では当時の菊名、埼京線では板橋・池袋・新宿・渋谷の各駅でホームの端に階段があるものの、運転台が必要な先頭車両はスペースの都合で6扉車にするわけにも行かず、6扉車が1両分ずれてしまい、6扉車ではスムーズに乗降が終わるのに、既存の4扉の車両では乗降に手間取っている場面も数多く見られた。
東急田園都市線でも渋谷駅の混雑の緩和を行うべく、まず5号車と8号車に6扉車が連結され、2009年からは4号車にも6扉車(6ドア車)が連結された。
また、山手線では全列車に6扉車が連結され、京浜東北線・根岸線や中央・総武緩行線でも6扉車を連結した編成を極力増やす取り組みが行われた一方で、地下鉄日比谷線関連や東急田園都市線関連、京王ではラッシュのピークに使用する分のみ5扉車が導入され、別の意味で「ピンポイント」な使い方もされた。
5扉車・6扉車の功罪
多扉車は混雑緩和にメスを入れた一方で、扉が多い分だけ座席の数が少なく、4扉車などと混在した場合には整列乗車で混乱を起こすという「諸刃の剣」でもあった。
特に6扉車では扉の数を増やした分、乗客の数も増えると予想され、床面積を稼ぐためにラッシュ時間帯だけ座席を収納していたが、これが批判の対象とされた。「座りたい」という要望は強く、始発駅では座席確保のための整列乗車も行われているので、扉の位置が乱れる多扉車は敬遠される傾向にあり、日比谷線でも始発駅となる中目黒では、5扉車の扉を2カ所締め切って既存の3扉車と合わせていた。。
このように多扉車は厄介な面もあったが、それに追い打ちをかけたのがホームドアだ。扉位置の違いや扉の数の多さがホームドア導入の障害となり、山手線や東急田園都市線では6扉車の置き換えが行われ、代替として4扉の新車をわざわざ作っている。
また、バイパス路線の整備などで混雑が緩和され、多扉車の必要性も薄れた。山手線や京浜東北線では、上野東京ラインや湘南新宿ラインが開業して利用者が流れたほか、横浜線や埼京線、京浜東北線・根岸線では、新型車両のE233系の車体幅が広くて輸送力が大きいことを理由に、車両の置き換えに合わせて6扉車が消えた。
中央・総武緩行線でも、大半の車両が山手線から転じたE231系500番代に置き換えられ、残った既存のE231系も2020年3月のダイヤ改正で6扉車を外し、オリンピック開催に合わせたホームドアの導入に備えている。
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