まもなく消滅、「ドアだらけ」通勤電車の功罪 ラッシュ時の混雑対策として期待されたが
京王では1996年にラッシュ時間帯の各駅停車の10両編成化を完了したことで輸送力が増強されて多扉車の存在意義が薄れ、6000系の5扉車は多摩動物公園のある動物園線で最後を迎えたが、ラッシュ輸送とは無縁の使い方だった。
また、東急田園都市線ではラッシュ時間帯の急行運転をやめて混雑の平均化を図り、大井町線の延伸で利用者を振り分けたほか、2019年に導入した新型車両2020系の増備車では、一部の車両で座席数を減らして扉脇のスペースを拡大するなどの施策が行われている。
最後まで残った京阪と日比谷線
京阪では、1980年に複々線区間の延伸で輸送力増強が可能となり、早々に多扉車の必要性が薄れた。他の車両と比べて5000系は扉の位置が違い、ホームドア導入の障害となって引退が決定したが、現状でも整列乗車の観点から5000系の使用を抑えているという。
また、地下鉄日比谷線関連では、地下鉄半蔵門線が東武伊勢崎線などとの相互直通運転の開始したことで日比谷線の利用者が流れ、多扉車の重要度が下がった。今回、ホームドアの導入に合わせて車両の総取り替えを行ったが、日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」は最初からホームドアを備えて2020年6月に開業する予定で、東京地下鉄13000系や東武70000系など、新型車両を前提としている。すでに東京地下鉄の03系は消え、日比谷線を去った東武20050型はリニューアルや3扉化への改造のうえ、編成を短くして自社線内の老朽車両の淘汰に活用される。
多扉車の5扉車・6扉車は「ラッシュの切り札」として導入されたが、バイパス路線の整備で存在意義が薄れ、最後はホームドア導入で厄介者とされた気の毒な車両でもあった。
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