「地方銀行の崩壊」コロナが映す暗い未来予想図 銀行破綻が「連鎖的な企業倒産」招く危険も

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地域金融機関にとっては一か八かという緊急融資ですが、不良債権化するのは本格的に返済が始まる1年後の話。

ただ、それよりも足元で心配なのが、既存の住宅ローンです。近年、多くの地域金融機関が、個人向けの住宅ローンやシェアハウス向け融資など不動産関連事業に注力してきました。

かつて森信親金融庁長官がスルガ銀行を「地銀のお手本」、西武信用金庫を「信金の雄」と大絶賛したように、近年ぐんぐん業績を伸ばし、最終的につまずいたのは、不動産関連事業にのめり込んだ地域金融機関です。

7月には「住宅ローンの滞納」続出か

新型コロナウイルスの被害拡大から、今後、リストラで職を失う会社員が増えるでしょう。40万人以上の失業者が発生するという試算もあります。職を失わなくても、ボーナスはかなり減額されます。つまり、ボーナスが支給される7月上旬には、住宅ローンの滞納が続出すると懸念されるのです。

仮にボーナスを何とか乗り切ったとして、もう一つ懸念されるのが金利の上昇です。今回、緊急経済対策のために国は数十兆円に上る国債を新規発行する予定です。もし市場で国債の消化が不調だと、国債暴落までいかなくても金利は軽く数%上昇してしまいます。

現在、住宅ローンの変動金利は0.4~0.5%とただ同然。そのため、多くの住宅取得者が変動金利で借り入れています。この状況で金利が1%でも上がると、返済額が増えて、たちまち滞納が続出することでしょう(なお、住宅ローンに関しては、地域金融機関よりもメガバンクなど大手金融機関のほうが融資残高がはるかに大きいので、より大きな悪影響が及ぶことに注意が必要です)。

つまり、緊急融資の不良債権化、リストラ・ボーナス減少や金利上昇による住宅ローンの不良債権化によって、地域金融機関の破綻が近い未来に起こる可能性があるのです。

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