また、住宅ローンなど不動産関連事業に活路を求める地域金融機関が増えています。ただ不動産関連事業はリスクが大きく、スルガ銀行の不正融資に見るように不良債権が増加し、かえって経営を混乱させているケースが目立ちます。
この八方塞がりの地域金融機関に突然降って湧いてきたのが、新型コロナウイルス対策の緊急融資です。
3月6日、麻生太郎財務相が民間金融機関に対し、中小企業の資金繰りに対応するよう要望しました。それを受けて、いま全国の金融機関が緊急融資制度を導入しています。それに先がけて京都銀行などは、地方自治体からの要請を受けて2月から緊急融資制度を導入しています。
「現役の地銀幹部」が語る本音
こうして地域金融機関は、地域経済を支えるという本来の役割を取り戻し、存在感を急速に高めています。ただ、心配なのが融資に伴う信用リスク。
緊急融資に殺到するのは、すでに資金繰りに困窮し、返済能力が疑わしい限界企業です。緊急融資で延命できたとしても、将来、返済不能になり、金融機関は大量の不良債権を抱え込む可能性が高いのではないでしょうか。
今回、複数の地銀幹部に取材したところ、緊急融資について「地域経済を支えるという役割を果たすために、使命感を持って取り組んでいる」という型どおりの回答のあと、匿名を条件に次のような本音のコメントがありました。
「今回は、政府・自治体・金融庁が音頭を取る政治案件。仮に不良債権になっても、最終的には面倒を見てくれるはず」(関西の地銀)
「わが行は、何もしなければ10年以内に破綻します。緊急融資の信用リスクは重々承知していますが、座して死を待つより、覚悟を決めて突き進むしかないのです」(関東の第二地銀)
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