三陽商会「5カ月で社長交代」の厳しすぎる現実 新型コロナに加え、ファンドと委任状争奪戦
大江氏が掲げる再建プランの柱は主に2つ。1つは在庫抑制による粗利率の改善だ。
これまで商品の仕入れは各ブランドの現場裁量で決めていた。それを中央で一元管理し、今下期は仕入れ量を前年同期比で3割減らす方針。品番数もブランドごとに1~3割程度削減する。
「バーバリーがなくなった後も一定の売り上げ規模の維持に必要以上にこだわった結果、過剰仕入れ、過剰投入、セールの乱発、粗利率の悪化という悪循環に陥った。今後は額ではなく、(粗利)率に徹底してこだわる」(大江氏)
もう1つの柱はコスト削減だ。約1050の売り場のうち、最大150売り場を今期中に撤退する。乱発ぎみだった新規事業も、大半が赤字に陥っていることから今期中に整理を進める。「収益化のメドが立たないと判断されれば躊躇なく事業撤退を考える」(大江氏)という。
大株主は中山社長の取締役留任に猛反対
抜本的改革にようやく乗り出したようにみえるが、市場関係者やアパレル業界関係者の視線はなお厳しい。三陽商会の株式を6%保有するアメリカの投資ファンド「RMBキャピタル」は、5月の株主総会で中山社長の取締役退任と、同社が推薦するマッキンゼー出身の小森哲郎氏の社長選任などを求める方針だ。
RMBの細水政和ポートフォリオマネジャーは、「小森氏と大江氏の体制であれば真の再生が実行できるが、そこに中山氏は不要。中山氏が代表取締役副社長としてとどまると経営責任の所在があいまいになる」と主張する。
大江氏については、「生産管理・在庫管理など、これまで三陽商会がきっちりできていなかったオペレーションを厳しくコントロールできる実行力がある」と評価。「さまざまな業界で経営してきた経験を基に将来の成長戦略やビジョンを描ける」小森氏と組めば、赤字を止め、将来の成長戦略を社内外に示せると細水氏は考える。
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