日米金融政策の格差から、ドル円は105円へ 敏腕アナリストが分析する為替相場
日本側の要因としては、日銀の金融政策の動向も注目される。4月1日に発表された日銀短観では、大企業・非製造業および全産業の業況判断DIがバブル期以降の高水準に達したほか、大企業の設備投資計画は3月調査で7年ぶりのプラス・スタートとなった。
一方、おそらく消費増税後の駆け込み需要の反動減から先行きDIは全体的に市場予想以上に悪化しているが、水準自体は決して低いわけではなく、日本銀行に即座の追加緩和を促すほどの内容ではなかったと考えられる。また、黒田総裁は1月決定会合後の記者会見で、コアCPIが半年程度+1%台前半で推移するだろうと述べていたが、夏頃には円安の影響が薄れ始めるなかでインフレが日銀の想定以上に長い間この程度の水準に留まる可能性があろう。
新興国で相次ぐ選挙、政治リスク消えず
春闘では企業によっては、+2%を上回る賃上げが合意された模様だが、この対象者は労働者全体の3割程度に過ぎず、マクロレベルでの所得が大きく上昇するには至らないだろう。そのため、賃金上昇が円安に代わってインフレ加速を牽引することは想定しにくい。こうしたなか、バークレイズは引き続き7月15日の決定会合で追加緩和(長期国債の買取り額を月1~2兆円、ETFの買取り額を月300億円程度増額)が決定されると予想している。
新興国に対する懸念は足元でやや落ち着きを取り戻しており、新興国通貨・新興国株の買い戻しや世界的な株高の動きが再び見られている。こうした背景には、中国の李克強首相が景気支援方針を示唆したことや、ウクライナ情勢に対する警戒感の後退などがあったと考えられる。
ただし、今年は主要新興国で重要な国政選挙が相次ぐ(4月9日:インドネシア総選挙、4~5月:インド下院選挙、5月7日:南アフリカ、7月9日:インドネシア、8月10日:トルコ、10月5日:ブラジル~いずれも大統領選挙)ことから、新興国情勢には引き続き注意が必要だろう。こうした選挙前後のタイミングで政治的な不透明感が高まり、新興国売りの流れが再び強まる可能性も否定はできず、そうしたリスク・オフの流れから円高に振れることも懸念されよう。
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