新型コロナウイルス流行の影響が続き、中国企業はそれぞれ生き残りをかけた対策を迫られている。そんななか、家電大手の美的集団が幹部報酬の一部凍結に踏み切ったことが、財新の取材で明らかになった。
財新記者が入手した美的の社内通知によれば、上級管理職を対象に月額報酬の30%の支払いが停止された。期間は3月から12月までを予定し、凍結分は年末時点の全社および各事業部門の業績を見たうえで、改めて支払うかどうかを決定する。
この社内通知は「現下の世界的に厳しい経済情勢を踏まえた」ものであり、董事長(会長に相当)の方洪波氏が4月10日付でサインした。対象は職能等級が19級以上の管理職で、董事長、総裁、副総裁、各事業部のトップ、職能別の統括責任者、主要子会社の責任者などが含まれる。美的関係者によれば職能等級は23段階あり、対象者は100人を超える模様だ。
2カ月前には人員削減と賃金カットを否定
「2020年のスタートはかつてない困難に見舞われ、経営リスクが高まっている」。2カ月前の2月7日、方氏は美的の全社員に宛てた社内メッセージのなかでそんな強い危機感を示していた。
だが方氏は同時に、美的の経営は長期的なビジョン、戦略展開、チーム作りを維持すべきであり、「何が起きようとも、どれだけコストダウンを迫られようとも、今年は1人たりとも人員削減をしない」と宣言。さらに賃金カットは行わず、「上げるべき賃金は上げる」と約束していた。
今回の幹部報酬の一部凍結は、方氏の前言撤回なのだろうか。「自分を含む経営層が率先して報酬の30%を凍結し、社員たちに緊張感を持たせるためだ」。4月14日、方氏は財新記者にそうコメントし、2月の社内メッセージとは矛盾しないとの見解を示した。そのうえで人員削減はしないと重ねて言明し、「生き残ることが最も重要だ」と語った。
(財新記者:彭岩鋒)
※原文は4月14日配信
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