2020年の中国の新車販売台数は2290万~2380万台にとどまり、前年比8.1~11.6%減少する――。国有自動車大手の上海汽車集団は4月13日、2019年12月期の業績発表時にそんな悲観的な見通しを示した。
上海汽車はドイツのフォルクスワーゲン(VW)やアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)と合弁を組む中国最大の自動車メーカー。その見解には業界代表としての象徴的意味がある。同社は市場の縮小が企業間競争を激化させ、弱小ブランドは淘汰されると予想する。
世界最大の自動車市場である中国市場は2018年から調整期に入り、2019年の新車販売台数は前年比8.2%減少した。同年の上海汽車の販売台数は前年比11.5%減の623万8000台。利益の落ち込みはさらに大きく、税引き前純利益は前年比33.41%減の215億8100万元(約3290億円)だった。
「国6」排ガス規制の前倒しで大幅値引き
利益減少の理由について上海汽車は、中国政府の排ガス規制強化の余波や電気自動車(EV)など新エネルギー車への補助金削減等を挙げた。北京や上海などの主要都市では、2019年7月1日から最新基準の「国6」排ガス規制(訳注:欧州基準の「ユーロ6」よりも厳しい世界で最も進んだ規制とされる)が前倒しで実施され、上海汽車を含むメーカー各社は新基準に対応できない既存車種の大幅な値引き販売を迫られた。
2020年の状況はさらに厳しい。新型コロナウイルスの流行が自動車産業を直撃し、上海汽車の1月の販売台数は前年同月比34.55%減、2月は同54.07%減、3月は同55.71%減という激しい落ち込みを記録した。
同社は2020年の販売目標を前年実績より3.8%少ない600万台に設定。新型コロナの中国での流行が落ち着いたことで今後の巻き返しに期待をかけるが、需要がどこまで回復するかは未知数だ。
(財新記者:安麗敏)
※原文は4月13日配信
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