村上ファンドに狙われた会社の悲喜こもごも 物言う株主は敵か味方か、その後を総括
3年間の執行猶予期間が明けてまもない2015年、復帰第1戦の相手に選んだのがエレクトロニクス商社の黒田電気だった。エレクトロニクス商社の業界について「プレイヤーが多すぎる。業界再編が必要だ」を持論とする村上氏。「M&A(企業の合併・買収)戦略を進めるため」として、自身を含む4人の社外取締役を選任する株主提案を行った。
臨時株主総会でこの提案は退けられたが、2017年に村上氏側は1人の社外取締役を送り込むことに成功。その直後、投資会社のMBKパートナーズがTOBを実施。このTOBは成立し、黒田電気は2018年に上場を廃止した。今年4月、黒田電気は持ち株会社への移行を通じて海外子会社を切り離し、国内ビジネスに特化している。
実質的な解体に追い込まれたのはエレクトロニクス商社のエクセルだ。村上氏の系列会社が計4割弱を取得した後、現金対価による株式交換でいったん系列会社の完全子会社とした。その後にエクセルの事業用資産以外を村上氏側に現物配当させたうえで、事業については今年4月に同業大手の加賀電子に譲渡した。
アクティビストの圧力で業界再編は進展
村上氏に狙われた会社のその後は悲喜こもごもである。狙われた会社には、現金を溜め込んでいた、持ち合い株や有休不動産を多く抱えていた、業界再編が待ったなしだったなど、いくつかの共通点がある。一方、村上氏から逃れるためにライバルとの経営統合を選んだ企業は少なくない。アクティビストの圧力が、結果的に業界再編の導火線に火を付ける役割を担ってきたことは間違いない。その後、うまくいっているかどうかを分けた要素は、これといったものがないように見える。
アクティビストは村上ファンドだけではない。巨大な資金力、洗練された提案力を持つより豪腕の海外アクティビストも日本に次々と上陸している。さらに元経営陣、創業家、親会社なども経営陣に対して声を挙げ始めている。企業にはこうした株主との向き合い方が問われている。
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