コロナ拡大「第2波」に警戒、中国で進む予防策 各地で厳しい検疫体制、経済活動も再開へ

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今年中国での販売目標を176万台に設定したトヨタの販売台数は、2020年1~3月に前年同期比22.1%減の27万台となった。湖北省で主力工場を設けたホンダと日産はそれぞれ前年同期比33.8%減(22.1万台)、39.9%減(20.6万台)となった。ただし日系自動車メーカー3社の3月単月の販売台数はいずれも先月比で大きく回復している。

近年中国で日本車は好調が続いている。中国乗用車市場における日系のシェアは、2019年に21.3%、2020年1~3月には23.5%に達し、長年の市場トップである独系を攻める勢いを見せている。日本車のブランド力が確実に向上しているなか、今後中国の新車市場が回復すれば、日本車の挽回ができそうと思われる。

NEVの補助金制度を2年間延長

2020年1~3月の中国乗用車販売は前年同期比41%減を記録し、新エネルギー車(NEV)販売台数は同55%減少した。かかるなか、中国政府はNEVの消費刺激策としての補助金制度を2年間延長すると決定した。これによりNEV市場の回復に期待が高まり、今年のNEV販売台数は前年比23%増の160万台に達すると予測される(全国乗聯会)。

また地方政府も自動車の消費刺激策を打ち出した。広州市はNEVを購入した個人消費者に1台につき補助金1万元(約15万円)を支給、ナンバープレート発給枠を年末までに月1万枚以上積み増すと発表した。

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北京市は、排ガス基準「国3」以下の老朽自動車の廃車を促進し、最高で1台につき補助金2.2万元(約33万円)を支給する。廃車による同市の買い替え需要は23万台になると推算される。また、浙江省は廃車促進策や買い替え補助金の支給を打ち出し、省都の杭州市に自動車ナンバープレートの発給枠の増加を要請している。

現在までに8つの省・市がこのような自動車消費喚起策を打ち出している。当初、今年4月の開催が予定されていた北京国際モーターショーについては、9月26日の開幕予定が発表された。中国自動車業界の一大イベントを通じて、メーカー各社が新車種を投入し、秋以降の新車需要の喚起が期待される。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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