多様性受け入れ消化する。この発想は日本の資源

良品計画金井社長


 商品だけではありません。店舗の空間デザインも、もっと温かいものにする。そして社員が余裕を持てる仕組みを作る。ただ、現状で店舗も含めて余裕があるかというと、まだハンドルでいう遊びがない状況です。今後あらゆる仕事の生産性を高め、無駄を排除していき、この遊びを作りたいということです。

 --海外では、07年11月に出店したニューヨークが絶好調です。

宣伝も何もしないで、お客さんが行列を作られるんだから、ほかから見れば、このやろうと言われちゃいますよね(笑)。無印良品には、宣伝しなくても出せば売れるだけのネームバリューとブランド力があります。元セゾングループ代表の堤清二が提唱し、故・田中一光さんたちクリエーターが作りあげたコンセプト。その根っこに少ない資源で豊かさを謳歌するといった、日本独特の美意識や良心観がある。そういう面の欧米の評価はものすごく高い。

日本人って、クリスマスをやって、神社にお参りに行って、お墓にも行く。そういう多様性を受け入れながら、日本なりに消化している。僕はこの発想が今後日本の大きな資源になると思っているんです。近年ではハイブリッド自動車がそうですし、MUJIも一つの例といえますね。

今、中国にモノづくりの中心がシフトしています。しかし簡単には手に入らないものがある。思想や美意識です。商品の物まねはできるでしょうが、思想を簡単にまねることはできません。そこに日本発の強みがあります。

ただ海外に何店舗などと、意識しては掲げません。かつて海外に50店舗体制だと言って大失敗していますから。日本の調達物流や在庫コントロール、オペレーションシステム。これらの仕組みを海外で展開するためにどうするのか、というプロジェクトを今動かしています。2~3年でこの仕組みが整えば、飛躍的な海外展開が可能だと思います。

 --10年後の無印良品の姿をどう描いていますか

MUJIは世界で共有できる思想だと思っています。宗教が違い、経済格差もある世界でも、MUJIに関しては「なるほど」と同じものを使ってくれる、それが一つのイメージです。

また、MUJIのコンセプトがしっかりしていれば、アイテムを再編集するだけで違うものができます。たとえば、生活の日常を考えてみると、「移動する日常」もありますよね。近いうちに香港の国際空港に、移動をコンセプトに商品をセレクトした専門業態を出店します。ほかに住宅やカフェも始めていますし、子ども用品の専門業態もできるかもしれない。こういう広がりはたくさんあります。いずれ日本のブランドが欧米にライセンスを供与する、そんな時代が来るかもしれません。

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