医師が教える「コロナ感染データ」の正しい見方 誤読、デマを防ぐためのヒント

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
拡大
縮小

まずはNEW CASESのほうから見ていきましょう。これを見ると、新たに診断された患者数の各国の日ごと(正確には5日ずつ)の推移がわかります。いちばん上の比較のグラフを見ると、アメリカで飛び抜けて感染者が急増してしまっているのがわかります。逆にヨーロッパ諸国はそれに比べるとカーブはなだらかに見えますね。

感染からカウントされるまで約2週間のタイムラグがある

ここでも、タイムラグがあるということに注意が必要です。人は感染してから、無症状の潜伏期間を経て、さらに症状が出てしばらく経ってから、病院を受診して診断を受けることになります。このため、感染成立から約2週間遅れでカウントされることになります。

現在の感染の流行状況を表してはおらず、このギャップが、各国が政策決定に頭を悩ませている大きな理由の1つです。

このグラフの下には、国別の状況を示したグラフも見られます。

ここでのポイントは5日ずつのまとめになっているということ。1日単位では検査の提出数などのぶれもあるので、1日単位の増減を比較するとより不正確になりそうですね。このため、5日ごとで見ています。最近、東京や大阪の数字が日ごとに報道されるのを目にしますが、それだけで一喜一憂するのは誤解のもとです。

これを見ると、大変な状況を経験し続けているイタリアやスペインでもカーブが比較的、平らになってきていることがわかります。

一方、イギリスやアメリカではまだまだ急増しているのがわかり、少なくとも2週間前までは爆発的な感染拡大が起こっていたことがわかります。

繰り返しになりますが、現在の様子がはっきりわかるのは2週間後です。2週間後のデータが低下傾向を示していれば、振り返って、感染はおさまってきていたとわかるわけです。

次ページ死亡分析(MORTALITY ANALYSES)の見方
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT