音楽教室のレッスン楽曲に著作権料払うべきか 東京地裁判決はJASRAC勝利、続く双方の対立

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JASRACと音楽教室側は、音楽教室のレッスン中に演奏される楽曲の著作権使用料をめぐり、裁判で争っている(編集部撮影)

音楽教室でレッスン中に演奏される楽曲に著作権料を払う必要があるかどうかが争われた訴訟で、東京地方裁判所は2月下旬、原告である約250の音楽教室側の請求を棄却し、日本音楽著作権協会(JASRAC)に音楽教室から著作権使用料を徴収する権限を認める判決を言い渡した。

判決の中で佐藤達文裁判長は「(著作権使用料の)徴収は文化の発展に寄与するという著作権法の目的に反しない」と述べ、被告であるJASRACの主張を全面的に認めた格好だ。

レッスンに「演奏権」が及ぶのか

裁判は、ヤマハ音楽振興会をはじめとする個人経営も含めた約250の音楽教室が原告となって2017年に提訴。音楽教室でのレッスンは、著作権の1つである「演奏権」が及ぶ、公衆に対して聞かせることを目的としているかどうかが主な争点になった。

原告側は、教室にいる生徒は公衆ではなく、教室での演奏は技術向上のためで聞かせる目的ではないとして、演奏権は及ばないと主張する。

これに対し、JASRACは演奏の主体は事業者である音楽教室で、申し込みをすれば誰でも受講できることから聞かせる相手は公衆であると主張した。JASRACはこれまで、スナックやカラオケボックスでの歌唱、ダンス教室などに演奏権の範囲を拡大するために裁判を重ねてきた。

いずれの裁判でも実際の演奏者が誰かではなく、楽曲利用によって利益を得ている側は誰かに着目して法解釈がなされた。これは「カラオケ法理」とも呼ばれ、JASRACも事業者から著作権料を徴収してきた。

裁判の過程ではJASRACの覆面調査員が音楽教室に入会し、裁判で陳述を行う一幕もあった。判決後、音楽教室側は知的財産高等裁判所に控訴し、両者の争いはしばらく続きそうだ。

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