シニアの「部屋掃除」が認知症予防にもなる理由 片づけを習慣化することで脳も刺激を受ける
家の中のモノは、いつのまにやら増えているもの。「でも片づけるのは面倒くさくて」「毎日忙しいから時間がなくて」。そんなことを言っている間にどんどん収拾がつかなくなり、気がついたら手のつけようのない「汚部屋(おべや)」に住んでいたりしないだろうか。
モノが整理されていない汚部屋は、モノが見つかりにくくてイライラする「ストレス部屋」にもなりやすい。また、散らかるモノにつまずいたり、滑ったりして家の中で転倒すれば大変なことになる。
『片づけ脳』(自由国民社)の著者で脳内科医の加藤俊徳医師は言う。
「“片づけられない”ということには、実は脳の働きが深く関わっています。脳には1千億個以上の神経細胞があり、同じような働きをする細胞が集まって集団を作っています。シニア世代になってくると、からだを動かすときにさまざまな指令を出す『運動系』や、覚えたり思い出したりすることに関係する『記憶系』の集団の機能が劣化しがちです。そのため、以前は片づけ上手だった方がびっくりするほど片づけ下手になってしまうこともあります」
「片づけの習慣化」を始めよう
では、脳のこの機能の劣化にストップをかけるためには、どうしたらよいのだろうか?
「一番いいのは逆転の発想で、『片づけの習慣化』を始めることです。“片づけ”は思いのほか脳にさまざまな働きを要求する行動です。毎日の習慣にしてしまえば、脳は毎日刺激を受け、『運動系』『記憶系』の機能はおのずと鍛えられていきますよ」
加藤医師がまず推奨するのは、「朝片づけ」を習慣化することだ。
「一気にたくさんの片づけをやろうとすれば、気が重くなるだけです。初めは食卓やソファの上に置いてあるものを毎日片づけることから始めましょう」