「57歳以下の会社員」は今iDeCoに入るべきだ 「65歳まで積み立て可能」なら大きなメリット

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50代は、一般的に若い頃に比べて所得が高いですから、所得税率の違いによって、iDeCoの「掛け金の全額所得控除」のメリットが大きくなると思います。また老後が現実味を帯びてきて、老後資金準備の必要性を強く感じるようになる世代でもあります。その手段としてiDeCoも大いに活用ができるはずですが、これまでは50代を超える人が新規にiDeCoを始めるにはネックがありました。

それは、60歳時点で加入期間が10年に満たない場合は、60歳では老齢給付金を受け取ることができず、「加入も受け取りもできない空白の期間」が最長65歳まで生まれてしまうというものです。

受け取りまでの「空白の期間」が消滅する

「空白の期間」は60歳までに積み立てた残高の運用を非課税で継続することはできますが、積み立てをしていないので掛け金の所得控除メリットはありません。そのうえ、年間数千円の口座料はしっかり差し引かれます。場合によっては、残高が年々目減りしてしまいます。ですから、私は50代の方にiDeCoの新規加入をお勧めできませんでした。

しかし今回のiDeCo改正が実現すると状況が変わります。65歳まで加入できる方であれば、50代後半であっても、65歳まで積み立てをすれば積立終了とともに空白の期間なく受け取りができますから、「50代でのiDeCoデビュー」をお勧めできるようになります。

今国会で改正法が成立すれば、iDeCoの加入可能年齢の引き上げは2022年5月1日からスタートする予定となっていますから、2022年5月1日に60歳を超えない現在57歳以下の人で、サラリーマンとして60代前半も働くつもりだという方は、これからでもiDeCoに新規加入して老後資金作りに活用されてはいかがでしょうか。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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