
不安を募らせる妊産婦たちへ有志による救いの手が差し伸べられる(撮影:穐吉 洋子)
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出やイベントなどの自粛が相次ぐ日本で、妊娠中の女性や乳幼児を抱えた母親が危機感を募らせている。外出もままならないうえ、自治体や保健所などによる講座や健診は次々に中止。ふだんからただでさえ孤立しがちな妊産婦たちが、この状況下でさらに「孤立」を深めているからだ。
こうしたなか、愛知県に拠点を置く助産師のネットワークは助産師110人体制でオンラインによる無料の「両親学級」「相談会」を開くことになった。異例の規模と体制による試みは成功し、拡大するか。
健診や両親学級、相次ぐ中止
「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、令和2年3月2日〜4月30日までに本市が実施する両親学級につきまして、開催を中止することといたします」(川崎市)、「1歳6カ月児健康診査を引き続き4月30日まで中止します」(大分市)――。日本各地の自治体HPを見ると、こうした告知が相次いでいる。一部地方を除き、大都市圏や中核都市、その近隣では軒並み「中止」「延期」である。日本産婦人科医会や日本産婦人科感染症学会も、妊産婦向けに「外出は控えて」と繰り返し呼び掛けており、間もなく赤ちゃんを産む女性や生まれたばかりの乳児を持つ母親たちは、家庭でじっと推移を見守るしかない状況だ。

コロナ関連のニュースで妊産婦の動向はほとんど取り上げられていない(撮影:穐吉 洋子)
そうしたなか、彼女たちはいったいどんな不安を覚えているのか。
公的機関が関与するしっかりした調査はないが、妊娠や出産に関する情報サイト「ベビカム」(東京)が3月初旬に母親対象のインターネット調査を実施したところ(回答者638人、うち妊婦132人)、妊婦からは「ニュースでもほとんど妊婦のことには触れられない。胎児にどんな影響が出るかもわからないので外出が怖い」「生まれてくる子供に対しての感染予防として何をするべきかわからない」「出産前後に病院が正常に機能してくれるのか」といった声が数多く寄せられた。
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