ヤマダとビック、相次ぐイメチェン戦略の成否 ECの強化だけでなくクオリティの追求も急ぐ

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縮小

高級家具販売の大塚家具を2019年末に子会社化したヤマダ電機は、2020年2月から旗艦店である「LABI1日本総本店 池袋」や「LABI品川大井町」など4店舗で、大塚家具ブランドを冠した高級家具と大型テレビの組み合わせで住空間シーンを提案する新戦略を本格化させた。

人口減少による市場縮小と並んで家電量販店を悩ませているのがECの伸長だ。若い世代を中心にECで家電製品を買う人が増加し、家電各社もEC市場への供給を急ピッチで進めている。

各社ともにEC強化は避けられないが、利益貢献度は決して大きくはない。アマゾンや楽天といったEC事業者のプラットフォーム上では、値引きが常態化。リアルの店舗で家電量販店が最大の強みとしてきた「安さ」は、もはやECとの差別化要因とはならない。危機感に迫られる家電量販業界が踏み出しているのがECにはない「クオリティ」の追及だ。

競争入札でイメチェン強調

ヤマダ電機の山田昇会長は投資家やメディア関係者に「ヤマダの新しいテレビCMを、ぜひ見てください」と事あるごとに言及している。

2019年秋から始まったCMは、家を出て住宅街を歩く夫婦のシーンから始まる。夫が「一つじゃないんや・・・行く理由って一つじゃないよな」とつぶやく。すると、妻が「洗濯機を見に行くんじゃなくて?」と返すと、夫は「キッチンも新しくしたいって言うてたよな。それに、犬も飼えたらなって」と、妻のさまざまな望みを叶えるために店に行くのだと答える。

家電のみならず家具やインテリア、リフォーム、住宅、保険・金融と、ヤマダはここ10年で業態を変化、拡大させてきた。「安いものを大量に売る家電量販店」という従来のイメージを払拭し、新しいヤマダの姿を見せるため、ヤマダはこれまで電通一本だったCM制作に初めて競争入札をかけた。岡本取締役は「狙ったのはヤマダ電機のイメージチェンジ。安い家電のヤマダから、暮らしまるごとのヤマダへと変化したことを知ってもらおうと思った」と、その狙いを語る。

人口減少やEC台頭という現実を前に、その姿・形を変えようとする家電量販店。果たして「量販店」と呼ばれない日は到来するのか。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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