「相鉄線ウェブムービー」が大成功した深い理由 「役に立つ15秒のCM」よりなぜ響いたのか

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山口周氏(写真左)と水野学氏(同右)が考えるいい広告とは?(写真提供:朝日新聞出版)  
「くまモン」「相鉄」などを手がける、日本を代表するクリエイティブ・ディレクターの水野学氏。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』など多くベストセラーを執筆した著述家の山口周氏。
いま最も注目される二人が「今の社会で何が価値になるのか?」をテーマに対談した共著『世界観をつくる「感性×知性」の仕事術』を上梓した。同書でビジネスとクリエイティブを繋げた発想法や働き方について語り合っている。前回記事に続き、本の一部を抜粋・再構成して紹介する。

「意味がある」はCMで表現できない

山口周(以下、山口):僕は広告の仕事をやっていたので、「この広告のメッセージのコアは何だ」と考えるわけです。

電通時代に杉山恒太郎さんや佐藤雅彦さんに教えてもらったのは、「広告の究極の目的は、その人にとっての商品の意味合いが変わる」ということ。自分にとって全然関係ないと思っていた商品やサービスが、広告によって自分と関係あるものに変わる。

つまり意味づけが変わるということで、「広告は究極的に意味をつくっていくこと」だと感じました。

水野学(以下、水野):「セブン-イレブンいい気分」の杉山さんと、「バザールでござーる」や「ピタゴラスイッチ」の佐藤さん。電通のクリエイティブ・ディレクターの大スターですね。

山口:お二人とも意味をつくれるクリエイターですが、そういう人は実は電通の中で1%もいない。残る99%の人は何をやっていたかというと「役に立つ」を15秒で伝えること。

ちなみに日本で広告枠が誕生した頃は、5分CMや1分CMという試行錯誤があって、30秒CMのフォーマットができたのは1970年代といわれます。で、そのうちどんどん短くなっていって今は15秒が基本です。

水野:短くなっていけばいくほど「意味がある」は、伝えられなくなっていきます。

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