産油国「コロナと原油暴落」で立たされた苦境

1バレル30ドルで推移すればサウジすら厳しい

アブダビ・コマーシャル・バンク(ADCB)でチーフエコノミストを務めるモニカ・マリク氏は、「GCC諸国では、経常支出よりも設備投資から優先的に削減する傾向が見られる」と言う。「だが原油価格の下落圧力が続けば、経常支出の面でもかなりの削減が必要になるだろう」

近年、原油価格が回復するなかで財政規律は緩みがちになっており、各国政府は経済成長を優先させてきた。オマーンなど一部の国では、政治不安を避けるために、税の導入やさらなる補助金削減を先送りしてきた。

ノムラ・アセットマネジメント・ミドルイーストのタレク・ファドララー氏は、「新型コロナウィルスと原油価格下落という二重苦は、各国政府だけでなく、経済活動テコ入れのための政府支出に頼りすぎている企業にとっても、警鐘になるかもしれない」と語る。

国債増発にも難題

ADCBのマリク氏によれば、UAE、クウェート、カタールはサウジアラビアよりも財政的に余裕があるだけに、より長期にわたって原油価格の下落に耐えられるだろうが、それでも「大幅な財政赤字が続くことを望んでいるとは考えにくい」という。

各国政府は、痛みを伴う措置を回避するために、国債発行の拡大や資産の売却による資金調達を図る可能性もある。

サウジアラビアは2014年以来、グローバルな低金利状況を利して、対外債務により1000億ドル以上を調達した。

政府債務は国内総生産(GDP)の約20%に留まっていることから、サウジアラビアは今後も国債発行により財政赤字を補うことができるが、2019年時点でGDP比17%に相当する約4690億リヤル(約13兆6000億円)の外貨準備を取り崩す方を選ぶかもしれない。

フィッチ・レーティングスの中東・アフリカ地域担当ディレクター、クリスジャニス・クラスティンス氏は、「実際には、サウジアラビア政府は今年、GDP比で約3%に相当する国債を発行する計画だった(財政赤字はGDP比6.4%)。恐らく、必要に応じて債券市場でさらに資金を調達する可能性もある」と話す。

だが、原油価格の下落を受けて湾岸諸国の国債は大きく売り込まれており、借入コストは上昇している。すでにオマーンとバーレーンの国債は、すべての主要格付機関から「ジャンク」の評価を受けている。

また、先週、サウジアラビア国債のデフォルト可能性に対する保険料は約3倍に上昇、2016年以来最高の水準となった。

(翻訳:エァクレーレン)

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