ローソンの飛躍を宣言した新社長の重責 12年ぶりのトップ交代、新浪CEOは会長に

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会見で玉塚氏は「小商圏の製造小売企業として世界一になる」とも語ったが、国内の業界トップとの差は依然大きい。直近、最大手セブン-イレブンの国内1店あたりの平均日販は67.1万円。一方のローソンは54.6万円で、新浪氏が社長に就任した02年度と比べると6万円近く上がったものの、セブンとは10万円以上の開きがある。店舗数でもローソンの1万1606店に対し、セブンはその約1.4倍の1万6319店もある。

チームワーク型の経営

02年から12年間にわたりCEOとしてローソンを率いてきた新浪氏は、「就任以来、私が一人で強いリーダーシップによって会社を引っ張ってきた」と自負する一方、周囲が自分に頼りすぎるという弊害も感じていたという。

トップ交代を意識したのが3年前。「今後は一人の強力なリーダーよりも、人材をチームとしてまとめあげるトップが必要」といった考えがあった。複数の候補がいた中で、「加盟店がまず相談に行くのは自分ではなく玉塚だった」というほど加盟店からの信頼が厚いことが、後継選びの大きな決め手になった。

チームワーク型の経営を求められる玉塚次期社長

会見冒頭の挨拶で玉塚氏は一度も座ることなく、興奮した面持ちで自身の経営方針を語り、「17年度には連結営業利益1000億円を目指す」と宣言した。

ローソンの14年2月期の営業利益見通しは700億円であり、1000億円の大台を実現するためには、毎年10%前後の増益ペースを維持する必要がある。これは直近の成長率よりも高い水準で、目標達成に向けたハードルは決して低くない。

具体的な計画は出さなかったが、玉塚氏は今後のM&A実施や北米の進出にも意欲を示した。新浪氏が挙げた後継者の条件の一つに「数値として実績が出せる人」というものがある。期待通りにチームワークを発揮し、目に見える形で成果を挙げられるか。新浪氏からバトンを託された玉塚氏が負う責任は大きい。

(撮影:尾形文繁)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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