面接官の意識に学生を傷つける意図はないのかもしれない。「大丈夫ですか?」「頑張ってくださいね」という励ましも入っているのかもしれない。しかし、下記の発言を女子学生は不快に受け止めている。
そういう励ましの意識も差別の一種なのだが、本人は気づいていない。根が深いと言えるから、学生に接する社員や面接官の事前教育が必要だと思う。なんの準備もなしに学生に接すると日頃の意識が言葉に出る。
「将来、『女性として』どういう活躍をしたいですか?という質問。女性であることは関係なくないか? と思った」(文系・早稲田大学)
「『笑顔は素敵だけど志望動機をもう少し固めたほうがいい』と言われた。同じことを男子学生には言わないと思う」(文系・東京外国語大学)
「『男の多い会社ですがやっていけますか?』という問いに対して、『性別関係なく頑張っていきたいです』と答えたら、『面接ではそう答えるしかありませんよね』と言われた」(文系・東京外国語大学)
余計な一言
余計な言葉で女子学生の意識を逆なでしている面接官もいる。本人の配属希望に対し、「親御さんが心配するんじゃないの?」は無意味な言葉。セクハラ経験を聞く面接官もいるようだが、聞くのは御法度。それこそセクハラだろう。産休育休の説明に「とくに女性は」も無駄な言葉。差別意識があると判断されても仕方がない。
「県外転勤ありのコースを希望した際、『女子なのに親御さんとか大丈夫なの?」と聞かれたこと』(文系・東北学院大学)
「セクハラ受けたことありますか」(理系・岐阜大学)
「産休育休について、『とくに女性は』という言葉はいらない」(理系・東京理科大学)
面接での質問事項は制限されている。応募者の適性や能力と無縁なことは避けなければならない。不適切なのは、本籍地や住所に関すること、家族(状況・職業・資産)に関すること、思想・信条に関すること(愛読書や尊敬する人物もNG)、そして男女差別やセクハラ発言だ。
ところが、無思慮に質問する面接官はとても多いようだ。まず家庭に対する質問から紹介しよう。
「父親母親など家庭のことを深く聞いてくる質問。こちらの回答に対してフォローできないなら聞かないでほしい」(文系・東北大学)
「自身の両親がどんな会社に勤めているか(具体的な会社名まで聞かれた)」(文系・國學院大学)
「親の職業、兄の職業、家族の構成など、選考に関係のないことを聞かれた」(文系・大阪教育大学)
家族構成、家族の職業や勤務地などに関する質問はすべてNGだ。
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