コロナ対策、鉄道会社「電車の消毒」の実態は? 国鉄時代は別の理由で消毒に力を入れていた

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日本の鉄道の大動脈、東海道新幹線はどうなっているか。JR東海に聞いた。

「車両清掃において、一般的に殺菌効果のあるアルカリ性電解水による清掃を行い、客室内の衛生管理に努めています。また、車内の洗面所に液体せっけんを設置しており、水や液体せっけんの補充も適切に行っています。2月28日から、お客様の手が触れやすいトイレのドアノブ等について、塩素系除菌剤(次亜塩素酸ナトリウム液)を用いた清掃を毎日実施しています」

東海道新幹線の清掃は過去に大井車両基地で取材したことがある。液体センサー付きの箒というユニークな道具があり、座席や背もたれが濡れている場合はアラームが鳴り、すぐに洗浄と乾燥を実施する。清掃で対応できない場合は即座に交換する準備もある。清掃スタッフも座席、車内担当とトイレ担当をしっかり分けて、用具もすべて専用だ。

新幹線車内の空気は6~8分で入れ替わる

また、現場スタッフのアイデアで車両の形状ごとに専用の道具を作っていた。たとえば荷棚とその上の天井を同時に拭く「つ」の字型のモップがある。正確と早さの両立のための工夫だ。なるほど、こういう作業のときに形が違う「異端児」があると、道具が増えて困るんだな……と、東海道新幹線からの500系引退に納得した。

それはともかく、東海道新幹線は、ふだんから殺菌を心がけた清掃を実施し、現在は消毒液も併用した特別体制になっていた。

新幹線車両には、もう1つ気になる点がある。「換気」だ。通勤電車では「新型コロナウイルス対策のため車内換気にご協力を」という放送を聞くようになった。実際、混雑した車内で涼しい風を感じるときもある。しかし、新幹線車両は窓が開かない。しかも、高速で運行するため、トンネルなどの気圧の変化に耐えるべく気密性の高い構造になっている。

「東海道新幹線の車内は、走行中・停車中にかかわらず常時換気を行っています。計算上ですが、約6~8分で車内の空気が新しい外気とすべて入れ替わることになります」

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