安倍首相「五輪開催」をトランプに頼る無理筋 日本のコロナ対策を米国はどう見ているのか
オリンピックに関して言えば、開催の決定は何よりもまず、単なる日本国内の状況ではなく、世界的なパンデミックの状況に左右されるものである。「オリンピックに関しては、日本だけでなく世界的なピークの特定が必要になるのではないか」と、マクマスター氏は話す。
マクマスター氏は現在ハドソン研究所のジャパン・チェアを務め、スタンフォード大学フーヴァー研究所にてシニアフェローとして在籍している。
安倍首相がオリンピック延期を決定したとすれば、それは理解できる。大会は安倍首相在任期間の頂点を表すものであり、深刻な経済不況を引き起こす大会の中止や延期は、彼の政治生命を瞬く間に終わらせるものになりかねない。しかし、安倍首相が必死になってトランプ大統領から大会(と自分自身)の擁護を引き出そうとしていることは空頼みだ。
「日本で予定どおりにオリンピックが開催されるか否かは、安倍首相の要請ともトランプ大統領の要請とも関係がない」と高名な日本学専門家であるジョージ・ワシントン大学マイク・モチヅキ准教授は話す。
「決定権は最終的にはIOC(国際オリンピック委員会)のもの。なので、たとえ安倍首相がトランプ大統領との電話会談でオリンピックに関するトランプ大統領の思いつきの発言を取り下げる努力をしたとしても、最終的に効果があるとは思えない。トランプ大統領はこの点においては国際的な信頼がないため、IOCが大会開催の方向に動くように安倍首相が働きかけるための効果的な協力者にはならないだろう」(モチヅキ准教授)
IOCとほかの世界の指導者たちにとっての大きな問題は、何十万人ものアスリートや観客が日本に集まることで、ウイルスの新たな潜在的ホットスポットを作りかねないということだ。
「オリンピックのために安倍首相と日本の首脳陣が、経済的かつ政治的な利害を請け負ったことは十分に理解しているが、最優先事項は国際的な保健と安全であるべきだ」とモチヅキ准教授は話す。「日本の指導者たちは、オリンピックの開催に強い関心があるからと言って、この危険を過小評価したり、控え目な対応を取ろうとしてはならない」。
「発展途上国は言うまでもなく、先進国のすべてではないにせよ、ほとんどの地域で感染の最大のピークがまだまだこれからだと思われる状況で、日本がどのようにして、すべてのアスリートやコーチ、観客を迎えることができるのかが私にはわからない」とコンサルティング会社、テネオ・インテリジェンスのトバイアス・ハリス氏は話す。
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