この頃から、街中では、公共施設を含む各所で、消毒液を供給するサニタイザーが置かれるようになり、ニューヨーク市も感染予防に向けた啓蒙に力を入れ始めた。市民の間でも危機感が高まり、マンハッタンのドラッグストアでハンドサニタイザーの在庫切れが続いた。
筆者の周りでも、日本出張からニューヨーク支店に戻った日系企業の社員が、2週間自宅にこもり、リモートワークしたり、同じく日本から戻った政府関係者が、家族と離れてホテル暮らしをしていたりするなどの話を聞くようになった。
食料を買いだめする動きも見られる。3月11日夕方、マンハッタン市内にあるグローサリーストアは買い物客であふれ、冷凍食品の棚は空っぽ。店員が在庫を補充すべく走り回っていた。
国連をはじめとする国際機関、民間企業では、感染予防のためのリモートワークが広がっている。ウエストチェスター郡の私立学校や公立学校、ニューヨーク市内の私立学校でも、学校関係者や保護者が感染したため、一時閉鎖となる学校が増加。子どもの学校に感染者が出た場合、その親も出勤が制限されることが多い。
大学はオンライン授業、企業はリモートワークに
コロンビア大学、ニューヨーク市立、ニューヨーク州立などの大学も、春休み前の授業を、オンラインに切り替えて始めている。
マンハッタンで、ビジネスエリアと住宅エリアにそれぞれ1店舗を持つカフェのスタッフは、「ビジネスエリアの店舗は閑散としているけれど、住宅エリアの店舗は、パソコンを持ち込んで仕事をする人のワークスペースになっている」と話してくれた。そのカフェでパソコン作業をしていた30代の男性は、ファイナンス系企業の社員。「日頃からなるべくリモートワークをするように推奨されているから、いつもと変わらない。個人的なコロナの影響? アメリカプロバスケットボールNBAのチケットを買っていたのに、中止になったことが残念」。
プロバスケットボールNBAは、11日に実施される予定だったオクラホマシティ・サンダー対ユタ・ジャズ戦の開始前に、ジャズ選手の1名に新型コロナウイルス の陽性反応が出たことが判明し、試合はキャンセル。感染がわかり、12日からの全チームの試合を中断すると発表した。
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