ニューヨーク「コロナで非常事態宣言後」の現場

ブロードウェイ公演中止、食料品買い占めも

ブロードウェイが全公演の中止を発表した3月12日、シアターが集まるタイムズスクエア周辺を歩いてみた。いつもは観光客がごった返すタイムズスクエアも閑散としている。タイムズスクエア横でBROADWAYの文字が入ったグッズを販売する女性は、「この数日は人が少ないけれど、ビジネスに影響が出るのはこれからかな」と言う。

タイムズスクエアで写真撮影をしていた日本人女性2人は、「さっき日本からニューヨークに着いたばかり。JFK空港はガラガラで、すごくスムーズに入国できました」と言う。日本から帰国したニューヨーク市民が、2週間の自宅待機を推奨されていることは、知らなかったという。ブロードウェイで公演中止が決まった旨を伝えると、驚きの声をあげた。

人気の観光スポット、ロックフェラーセンターも、いつもより人が少ない。アイススケートリンクに隣接する、日本人にも人気のブランドケイト・スペード。客のいない店内で談笑していた店員2人は、「ニューヨークが非常事態宣言をした後、つまり今週になって、客足の減少を感じる」という。

ラジオシティ・ミュージックホールでは、ちょうど公演が始まろうとしていた。入場者を誘導していた係員は、「明日2時のショーが最後だ。この業界は大打撃。いや、すべてのビジネスが大打撃だ。クレイジーだね」と言う。

韓国系スーパーの一角にあるイートインコーナーで、日本食を提供する男性スタッフは、開口一番「ひまです!」と苦笑い。「3月に入って、イートインコーナーでゆっくり食事をする人が少なくなったなと感じていましたが、今週はガクンと売れ行きが落ちました」。スーパーのほうは、客の減少は感じられないという。

3時間歩き回って、見かけたマスク姿は3人のみ

そんな状況の中、ブロードウェイを3時間ほど歩き回っても、マスク姿の人は3名しか見かけず。アメリカには風邪や花粉症予防にマスクをする習慣はなく、「マスクは感染者がするもの」「新型コロナウイルスの予防に、マスクは効果がない」という認識が一般的のようだ。

マスク姿だった人のうちの1人は、ニューヨーク在住30年の日本人男性。ブロードウェイの近くで、日本人が経営する指圧サロンに勤務する。顧客は、日本人4割、非日本人が6割で、ニューヨーク市長の非常事態宣言後、客数は通常の6割程度まで減少したという。

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「毎日、ロックフェラーセンターの地下道を通って通勤しているけれど、今はガラガラ。密室は感染率が高まるので、みんな地下は歩きたくないのでしょう。うちのサロンも個室での施術なので、密室を避けたい人は来ませんよね。サロンの顧客には、ホテル業界、レストラン業界の人も多く、みんな危機感を抱いています。ホテルに務める常連さんは、『長年100%満室を記録していたのに、とうとう30%に落ち込んだ』と言っていましたよ」。

コロナウイルスの騒動が、ニューヨークの文化と経済に暗い影を落としているのは確かだ。

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