10~20代が調べるときに「ググらない」真の理由 消費者が求めるのは「便利さ」より「時間」

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世界的コーヒーチェーンといえば、誰もがスターバックスコーヒーを思い浮かべるところだろうが、そのスターバックスを脅かす存在が現れた。コーヒーの消費量が増えている中国では、スターバックスではなく、新興勢力のラッキンコーヒー(luckin coffee=瑞幸珈琲)を選ぶ消費者が増えているのだ。

ラッキンコーヒーは、2018年1月に北京に1号店をオープンした後、爆発的なスピードで店舗数を増やしている。1号店のオープンからわずか1年で店舗数は2000を超え、2019年末時点では4507店舗に達した。これは1999年に同国に進出したスターバックスの中国国内店舗数を上回っている。

ラッキンコーヒーの特徴は、「行列に並ばずに買える」という点だ。注文はスマートフォンアプリから行い、その場で決済も完了する。購入者は、コーヒーの出来上がり時間に店舗に足を運び、店員にQRコードを見せてコーヒーを受け取るだけだ。行列に並んだり、レジで決済したりする必要はない。

ただし、このラッキンコーヒー、多くの店舗ではくつろげない。というのも、ラッキンコーヒーは、テイクアウト専門の店舗を中心に展開しているからだ。

ターゲットは、時短を求めるオフィス街の持ち帰り客。コーヒーを購入するのにかかる時間を、極限まで短縮しているのだ。ソファに座ってゆっくりとくつろげるスターバックスとは、真逆のコンセプトともいえる。ラッキンコーヒーは、デジタルを活用して「短い時間でコーヒーが飲みたい」という消費者ニーズを捉えることに成功している企業である。

身近なところにも広がる「時短」の流れ

日経MJが年に2回発表している「ヒット商品番付」などを参照すると、いまやメーカーが出しているヒット商品の7割から8割は、何らかの形で時短に関連しているほどだ。

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現に家電は、ロボット掃除機や食器洗い乾燥機など、時短関連のものがよく売れている。さらに、一見すると時短とはあまり関係のなさそうな日用品まで、結果的に時短につながるものがよく売れている。例えば寝ぐせがつかないシャンプーや、シュッとひと吹きで汚れが落ちる洗剤などだ。

スマートフォンの影響で生活が便利になった反面、なぜか忙しいと感じるようになってはないだろうか。忙しい消費者は、ムダな時間をとにかく減らしたい。そして、自由な時間を増やしてくれる商品やサービスを求めている。自分で判断することを少しでも減らしてくれるもの、プロセスを省略してくれるものに惹かれていくのだ。

いかに「消費者の時間」を獲得していくか――これからもっと多くの企業が、そのテーマに投資し始めるだろう。

望月 智之 いつも.副社長

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もちづき ともゆき / Tomoyuki Mochizuki

東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも.を共同創業。同社はコンサルティング会社として、現在までのべ9000社以上の企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国であるアメリカ・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの第一人者として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。

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