10年以上も欠陥を隠蔽か、窮地に立つGM トヨタに続く大問題に、303人死亡の指摘も

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米最大の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)が揺れている。2月7日に160万台の大規模なリコール(無料の回収・修理)を発表し、3月17日にも154万台を追加でリコールした。

2月のリコールの対象車種は、2005~2007年モデルの「シボレー・コバルト」、2003~2007年モデルの「サターン・アイオン」など。問題となっているのは、車を始動する点火スイッチだ。運転者の意図に関わらず自動的にエンジンが切れ、事故時にエアバッグが作動しなくなる可能性がある。GMがそれについて社内調査をしたところ、新たな不具合が発覚し、3月の追加リコールに踏み切った。

米消費者団体「センター・フォー・オート・セーフティ」は、シボレー・コバルトとサターン・アイオンの2車種で、点火スイッチの停止によってエアバッグが作動せずに死亡した人数は303人に上る、というリポートを公表している。

さらに内部告発などから、不具合を組織的に隠蔽した疑惑も浮上している。2001年には点火スイッチの不具合を把握していたが、すぐに内部調査してリコールしなかったのではないか、という疑いだ。

安全担当役員のポストを新設

今年1月にGMのCEO(最高経営責任者)に就任し、業界初の女性トップとして注目を浴びるメアリー・バーラ氏は「GMが責任ある企業であり続けるために、徹底した調査と対応を行う」と表明。3月18日に安全担当役員のポストを新設し、技術畑出身のジェフ・ボイヤー氏が就任した。バーラ氏は「一人の責任者が車の安全性に関わるすべての問題に決断を下すことで、顧客により迅速で安心できる環境を提供できる」とコメントしている。

今回の件から思い出されるのは、2009~2010年にかけて起こったトヨタ自動車の大量リコール問題だ。運転中に意図せぬ急加速のおそれがあるとして、最終的に1000万台以上のリコールに発展。その原因が電子制御装置の欠陥にあるのではないか、といわれていた。

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