スマホの次はクルマ、過熱するOSの覇権争い アップルが「CarPlay」を発表
アップルは3月2日、車載情報システムとiPhoneとの連携をスムーズにするための新システム「CarPlay(カープレイ)」を発表した。iPhoneをCarPlayに対応した車につなぐと、声による指示で、電話をかける、地図を見る、音楽を再生する、といった機能が使えるようになる。
トヨタ自動車やゼネラルモーターズ(GM)など大手メーカーの大半が対応する予定。また、米国で最も利用者が多い車載情報システム「SYNC(シンク)」を展開するフォード・モーターもCarPlayの導入を発表している。
米国の車載情報システムは現在、SYNCとGMの「OnStar(オンスター)」が市場を二分。利用者はSYNCがおよそ700万人、OnStarが600万人に上る。
SYNCの基本ソフト(OS)はマイクロソフトのWindows(ウィンドウズ)だ。ただし、SYNCは車に搭載されたシステムであるのに対し、CarPlayは車とiPhoneを連携しやすくするためのシステム。マイクロソフトにとっては、CarPlayが登場しても、SYNCのOSの座をアップルに奪い取られるわけではないため、インパクトはさほど大きくない。本当の脅威は、フォードが車載情報システムの未来を見据えて、大きく動き始めたことだ。
OSの乗り換えを検討
フォードは最近になって、SYNCのOSをWindowsから変更することを検討している。その有力候補の一つが、ブラックベリーのQNX(キューエヌエックス)だ。QNXはGMのOnStarに採用されているOSで、米国内ではホンダのアキュラ、アウディ、BMW、ランドローバーなど多くのメーカーに採用されている。
マイクロソフトのWindowsは、フォード以外に日産自動車、BMW、フィアット、起亜自動車が使っているが、BMWはQNXにも参画。日産や起亜は昨年6月に開かれたアップルの開発者イベントでCarPlay(発表時の名称はiOS in the car)に対応することを明らかにしていた。フォードは数少ないWindows一筋の会社だった。
なぜOSを乗り換えようとしているのか。フォード関係者は「全体的なコストダウンにつながる」と話す。その一つがライセンス料。QNXはWindowsより安い。
ただ、業界内では別の問題を指摘する声もある。それは、SYNCがスマートフォンへうまく対応できていないことだ。
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