東京の新築マンションがどんどん狭くなる事情 3LDKでも50㎡台、収納や書斎が部屋外の物件も

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面積を狭くしたことによって部屋から失われた機能について、デベロッパーは「外注」することで補おうとしている。

野村不動産や東京建物といった大手デベロッパーの新築マンションで導入が相次いでいるのは、ベンチャー企業「データサイエンスプロフェッショナルズ」が展開する宅配型トランクルームの「シェアクラ」だ。段ボール1箱から私物をトランクルームに保管できる。「新築マンションの収納スペースが減少しているため、自宅の収納と同じような感覚で利用できる収納サービスを目指したい」(同社)。

三菱地所も同様の収納サービスを展開する「サマリー」へ、2018年に約9.4億円を出資した。すでに三菱地所が保有する都内の賃貸マンション2棟へ導入されているが、今後は新築マンションへの導入も視野に入れているという。

共用部が部屋を補完

外注以外に、マンションの共用施設で住戸の機能を補完しようとする動きも進みつつある。大規模マンションでは共用施設のラウンジが住戸の応接室、ゲストルームが親族や友人が訪れた際の宿泊部屋として機能している。

三菱地所レジデンスの浦手健司第三計画部長は、「働き方改革の影響で、マンション内にコワーキングスペースやスタディールームを設ける物件が今後増えてくるだろう」と見通す。実際、同社が販売中の「ザ・パークハウスオイコス鎌倉大船」では、共用施設のライブラリーラウンジに、コンセントの付いたテーブルを設置している。

さらにデベロッパーからは「ライフスタイルが変化し、広い部屋を必要としない人が増えている」という声も上がる。夫婦共働きで日中は家に人がおらず自宅は寝に帰るだけという人が増え、子のいない世帯も多い。所有する私物が減り、収納もかつてほど必要なくなっている。つまり面積の狭い物件が増えているのはニーズに合わせてのことだというのだ。

2020年も用地代と建築費が下がる兆しはない。面積は減りこそすれ増えはしないだろう。新築マンションは「うさぎ小屋」の色合いを一層強めている。

『週刊東洋経済』3月14日号(3月9日発売)の特集は「マンションの罠」です。
一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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