東京の新築マンションがどんどん狭くなる事情 3LDKでも50㎡台、収納や書斎が部屋外の物件も
中古市場で流通している物件に比べ、今の新築はリビングを筆頭に各部屋の面積が縮んでいる。さらにリビングに接する洋室には、多くの場合ウォールドア(引き戸)が採用されている。これを開け放つことでリビングとの仕切りがなくなり、狭いながらも開放感を演出できるためだ。
収納スペースの縮小も激しい。和室がなくなり、押し入れも消滅。それとともに、従来ならクローゼットを配置していた部分まで居室に割いている。WIC(ウォークインクローゼット)とうたいつつ、実際はWIC内での身動きもままならないほどに狭い物件も珍しくない。
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さらに、従来なら間取り図ではLDとKがそれぞれ独立して面積が記されていたが、最近は一緒くたに記す広告が増えている。キッチンの面積分だけリビングを広く見せたい、というデベロッパーの涙ぐましい努力が垣間見える。
原価が上がれば一層の面積縮小も
用地代などの原価がさらに上昇すれば、デベロッパーはより一層の面積縮小を検討せざるをえない。目下、大手デベロッパーは「3LDKの限界値は60平方メートル台半ばあたり。居室や収納、キッチンの面積などで社内規定に準ずると、60平方メートルを切る3LDKは難しい」(三井不動産レジデンシャルの小林幹彦都市開発二部長)と話す。
だが、ある大手デベロッパーの首脳は、「欧米のように玄関を小さくし、浴室もシャワーだけにすれば1坪節約できる」と打ち明ける。大手でも、50平方メートル台のファミリー向け住戸が登場するのは、時間の問題かもしれない。
国は「多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積」として、都市部のマンションなら2人世帯で55平方メートル、3人世帯で75平方メートルと、住生活基本計画で規定する。デベロッパーの最近の動きは購入者の予算に合わせるための苦肉の策とはいえ、国の理想からは程遠い。
また、業界団体である不動産公正取引協議会連合会は「LDK」の表示に必要な最低面積を2LDK以上なら10帖(16.2平方メートル)と2011年に定めている。今やその最低面積に近づきつつある。
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