宗教がわかってない人はこの4原則を知らない 何を信じ、礼拝し、服し、目指していくのか

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多神教世界の神々は、民族ごと、地域ごとにさまざまです。インドにはインド神話の神々(帝釈天とか火天とか水天とか)がおり、ギリシャにはギリシャ神話の神々(雷てい神ゼウスとか豊穣神デーメーテルとか)がおり、中東には中東神話の神々(軍神マルドゥクとか豊穣神イナンナとか)がいる――こんなふうに多神教は世界中に展開しました。

それらの信仰の一部は今日では死に絶え、一部は今日でも存続しています。例えばギリシャ神話や中東神話の神々はもはや死に絶えていますが(今のギリシャ人はキリスト教徒で、今の中東の人々の多くはイスラム教徒です)、日本神話の神々――アマテラスやオオクニヌシ――は今も健在です。

全部の理想が投影された独裁的な神の存在が求められる

③ 一神教――唯一神の信仰

人類の想像力は次第に発達していき、人生を司る霊的なパワーに関しても、全宇宙、全世界、全人類を支配圏におさめるような強大なものを求めるようになっていきました。

こうなってくると、アニミズムの霊や多神教の神々ではパワー不足です。世界のごく小さな範囲に対してしか権能をもっていないからです。火の神は火だけを司り、水の神は水だけを司る。ある神はある村だけの神、ある神はある民族だけの神です。

というわけで、多神教の神々よりももっと上位の、独裁的な神の存在が求められるようになりました。それが一神教の神――唯一神――です。

一神教の神は、人間の思いつくあらゆる「強さ」「善さ」「機能」「効果」をぜんぶ投影された理想の存在です。

どんな奇跡でも起こせます。あらゆる人間の祈りを聞いています。

逆にまた、あらゆる人間を天空から監視しています。人間たちに善と悪を示します。特別な人間に啓示を与え、教典を与えます(啓示を授かった人間を預言者と呼びます)。

唯一であり、創造者であり、全知全能であり、絶対善である――実に大それたイメージです。

そんなものが本当に存在しているかどうかはともかく、人々はそんな神を想像するようになったのです。

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