核廃絶交渉で試されるオバマ大統領の指導力--ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授



 オバマ大統領は、短距離核兵器問題の取り扱いや対弾道ミサイル防衛の再規制などについて、ロシアと交渉を始めるべきだ。加えて、核兵器廃絶のために必要となる透明性と検証に関する条件の理解を深めるために、中国やフランス、イギリスと協議を開始すべきである。

同時にオバマ大統領は、長期的な課題があるからといって重要な短期的な課題から目を背けてはならない。世界が核の脅威にさらされた危険な場所であるかぎり、オバマ大統領はアメリカの核の抑止力の拡大を同盟国に対して保証することが不可欠だ。そうでないと、核兵器削減の実現に不安を覚える国は独自に核兵器を開発するようになり、結果的に核兵器保有国の数が増えかねない。

さらに、オバマ大統領は、北朝鮮を6カ国協議に復帰させ、核兵器開発を最終的に断念させるための交渉も行うべきである。イランに約束を守らせて、非核兵器保有国としてNPTにとどまるように説得することも重要なテーマとなる。

核問題をめぐって、オバマ大統領が国内政治や国際外交をうまく切り盛りできるか否かが、世界のリーダーとしての大統領の能力を測る重要な要素となる。もし来年、交渉を進展させることができれば、核兵器使用に対する過去60年のタブーが維持されることになるだろう。

Joseph S.Nye,Jr.
1937年生まれ。64年、ハーバード大学大学院博士課程修了。政治学博士。カーター政権国務次官代理、クリントン政権国防次官補を歴任。ハーバード大学ケネディ行政大学院学長などを経て、現在同大学特別功労教授。『ソフト・パワー』など著書多数。

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