JR九州、独特な「鉄道デザイン」はどこへ向かう? クラシックな豪華さにこだわるが、今後は…

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3号車のデザインは、なぜモダンなイメージなのだろうか。JR九州の担当者は、「水戸岡氏が考えたデザインで、なぜモダンなのかはわからない」と話す。窓枠は水戸岡氏ならではの木を使ったクラシックな雰囲気だが、楕円形のドーム天井など、ベースとなった787系のビュッフェのデザインを尊重した結果、モダンなデザインになったとも考えられる。

デザイン画と完成形が異なる可能性もJR九州は示唆するが、もしかしたら、ななつ星や或る列車のようなゴージャスな内装からは少し方向性が変わるのかもしれない。

JR九州、今後のデザインは?

では、将来JR九州が製造する特急列車は、883系や885系のようなモダンなデザインに戻るのか、それとも、現在のクラシックなデザインが踏襲されるのか。

改造中の「36ぷらす3」(記者撮影)
デザイナーの水戸岡鋭治氏とJR九州の青柳俊彦社長(記者撮影)

JR九州の関係者は「新しい特急車両を製造するのは当分先。しばらくは現行車両を大事に使い続けるのではないか」と話す。九州新幹線鹿児島ルートの開業で鹿児島本線における787系の出番が減り、各地の路線に転出していった。2022年度に長崎新幹線が開業すれば、博多―長崎間の特急「かもめ」に使われている885系にも余剰車両が出てくるかもしれない。

だとすると、JR九州が次に造る車両は在来線ではなく、長崎新幹線ということになる。おそらくJR東海のN700Sをベースに改造するはずだ。

初代新幹線800系は「和モダン」と称されたデザインだったが、2009年に登場した新型は、客室の壁に金ぱくが施されるなど内装がゴージャスになった。一方で、「さくら」「みずほ」として活躍するN700系はJR西日本との共同開発のせいか落ち着いた雰囲気の内装になった。

はたして、長崎新幹線のデザインはどちらに向かうか。JR九州のお家芸であるクラシックなデザインも楽しみだが、水戸岡氏の手による、令和の時代にふさわしいモダンなデザインも見てみたい気がする。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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