JR九州、独特な「鉄道デザイン」はどこへ向かう? クラシックな豪華さにこだわるが、今後は…

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JR西日本が5月8日から運行する特急「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」もモダンなデザインが目を引く。

JR西日本の新たな長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」(記者撮影)
「WEST EXPRESS 銀河」のデザイナー、川西康之氏。丸を取り入れたデザインが特徴だ(記者撮影)

鉄道というと四角いイメージがあるが、内装には丸(まる)を意図的に取り入れているところに面白さを感じさせる。運賃と特急料金を合わせた料金は、大阪―米子間の普通車指定席利用でわずか8890円(通常期)と、ななつ星などの豪華列車と比べると破格の安さで、人気が出ることは間違いない。

JR九州が「36ぷらす3」の導入を発表した2019年11月21日は、JR西日本が銀河の運行概要を発表した翌日だった。「36ぷらす3」は数日かけて九州を一周する長距離列車であり、1日の1人当たり料金は座席と食事の組み合わせなら1万5000円前後。座席のみなら1万円前後でななつ星より格段に安く、むしろ銀河に近い。

「クラシックデザインを追求」

「サフィール踊り子」、「ひのとり」、そして「WEST EXPRESS 銀河」。こうした新列車のデザインに「36ぷらす3」はどう対抗するのか。この質問に対して、水戸岡氏は、「時代はモダンなデザインの方向に進んでいるが、JR九州はクラシックなデザインを追求する」と言い切った。「36ぷらす3」は、九州を1周するという点では都市から都市への移動を目的とする特急列車とは異なる。その点ではこれまでのJR九州の戦略を踏襲して観光列車的な要素に比重を置く必要があったのかもしれない。

「36ぷらす3」は、現時点で1、3、4号車の車内イメージが発表されている。1号車と4号車はイラストを見る限りでは、ななつ星や或る列車のようなクラシックな水戸岡デザインである。

「36ぷらす3」の料金で内装のコストをまかなえるのかという点については、水戸岡氏は「D&S列車の内装を手がけてきた職人チームには長年にわたる経験とノウハウがある。ほかのJRにはできないことが彼らにはできる」と話し、製造コストにおける優位性を強調する。青柳社長も「両立できないと思われることを両立させるのがプロ。任せてください」と自信を示した。

一方で「36ぷらす3」の3号車のビュッフェのデザインは、ベースとなった787系のビュッフェを活用し、883系のような近未来的でモダンな印象を受ける。

3号車のビュッフェのデザイン。787系のビュッフェを活用し、モダンな印象だ(画像:JR九州)

そもそも水戸岡氏は「モダンなデザインも好きだ」と公言している。2011年登場の「あそぼーい!」はモダンな雰囲気があふれる。ななつ星に際しても、当初水戸岡氏は前面ガラス張りで丸みを帯びた近未来的な寝台列車を提案したが、「豪華列車の旅を楽しむ50~70代の客層はヨーロッパ風のクラシックなデザインを好む」というJR九州の判断を踏まえ、クラシックなデザインになったという経緯がある。

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