イオン、23年ぶり新トップが抱える2つの課題 創業家社長の後任として成長軌道をどう描くか

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新社長の手腕が期待されるイオンだが、グループ経営には課題が山積する。数ある中でも喫緊の大きな課題は、GMS事業の立て直しだ。競争激化や人件費高の影響を受け、同事業の営業利益率(2019年2月期)はわずか0.4%の低採算にあえいでいる。

2018年3月に打ち出した、子供服や家具など4業態でSPA(製造小売業)型の商販一体会社化を目指す施策は「いったん見送りになった」(グループ会社首脳)。2018年10月、食品スーパー改革を実施するため、全国6エリアの事業会社をエリア別に再編・統合すると発表した。だが、2019年9月に予定していた九州エリアの統合(イオン九州、マックスバリュ九州、イオンストア九州)は、いまだに実現できていない。

リアル店舗でデジタル技術をどう生かすか

もう1つの大きな課題はデジタル化の推進だ。オカドとの提携により2023年までに専用倉庫を設置し、ネットスーパー事業を加速する。イオンのネットスーパーの売上高は現在、全体の1%にも達しない。全国のリアル店舗とデジタル技術をどのように融合していくのか。吉田氏の手腕が試されるところだ。

23年ぶりの交代を受けて、1月の会見では将来の世襲について質問が出た。岡田元也氏の長男の岡田尚也氏(36歳)は現在、グループ内スーパーのビオセボン・ジャポンの社長を務めている。岡田元也氏は「本人が(世襲を)どのように考えるかもわからないので、なんとも答えようがない」と述べるにとどめた。グループ内では、「新社長が中継ぎとして体制を整え、岡田家(尚也氏)に譲るとの見方が大勢」(グループ会社首脳)という。

いずれにしてもGMSの立て直しとEC(ネット通販)強化で新たな成長軌道を描けるか。巨大小売りグループの変革を託された吉田氏。荒波の中での船出となる。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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