イオン、23年ぶり新トップが抱える2つの課題

創業家社長の後任として成長軌道をどう描くか

具体的に社長人事の議論に入ったのは、2019年の初めごろ。今回のタイミングでの交代について、岡田元也氏は「何の意味もない。善は急げということで決まった」と言う。グループ会社首脳は、「2017年12月に中長期構想(『イオングループ2020年に向けて』)を打ち出した際に、遅かれ早かれ交代することを直感した」と説明する。

岡田元也氏の後任に選ばれた吉田氏は、イオンの拡大戦略において重要な役割を担ってきた。中国など国内外での店舗開発の経験が長く、現在はグループ営業利益の2割超を稼ぐイオンモールの社長を務める。

副社長3人の就任がトップ交代の布石

2019年3月からはディベロッパー事業に加えてデジタル事業の責任者も兼務。その前年には現在デジタル事業を統括する齊藤岳彦執行役(当時51歳)が就いたが、イオンをよく知るIT業界関係者は、「(齊藤氏の下では)統制が十分とはいえず、吉田氏が責任者になってデジタル事業が軌道に乗り出した」と打ち明ける。

吉田氏は、2019年11月に提携した英ネットスーパー「オカド」との交渉役も担当。ロンドンでオカドの宅配車に乗り、人工知能を駆使した配送システムの運営状況を確かめた。オカドのデジタル技術を活用したネットスーパー事業の拡大は、岡田元也氏がデジタルシフトに対する「われわれの答え」と位置づけるものだ。

岡田元也氏は、「想定外のことを想定しながら勇猛果敢に対処できる」と評する。2019年3月に吉田氏を含めた3人の代表執行役副社長を配置したのは、トップ交代を見据えた布石だったといえるだろう。

図表で示したように、イオンの歴代社長は岡田屋とフタギの創業家や銀行出身者(出身行の総会屋問題で1年で交代)が担ってきた。83年にジャスコに入社した吉田氏は、初の生え抜き社長となる。「小売りの現場を体験しているのは強み。経営判断する際の材料になる」と、吉田氏は社長交代会見で緊張した面持ちで語った。

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