イオン、23年ぶり新トップが抱える2つの課題 創業家社長の後任として成長軌道をどう描くか
GMS(総合スーパー)最大手であるイオンのトップが23年ぶりに交代した。副社長だった吉田昭夫氏(59歳)が3月1日付で社長に昇格し、創業家出身の岡田元也社長は、代表権のある会長として引き続きグループ経営に携わる。
岡田元也氏は今年1月に開いた会見で「イオンはこのところ成長スピードが落ちている。新しいリーダーの下、成長モードを切り替えていかなければならない」と淡々と答えた。だが、「事前の連絡はいっさいなかった」(グループ会社首脳)と言うように、国内外で300社を超えるグループ企業の幹部がトップ交代を知ったのは発表当日の1月10日。本社で幹部向けに岡田元也氏が自ら説明を行ったのは、それから1週間後のことだった。
国内外で2.2万店の巨大流通グループに
三重県の呉服店「岡田屋」を源流とするイオンは、M&A(企業の合併・買収)をテコに業容を拡大してきた。岡田元也氏の父親で名誉会長を務める岡田卓也氏は、地域スーパーのフタギ、シロとの共同出資でイオンの前身であるジャスコを1970年に設立した。
1997年に岡田元也氏が社長に就くと、マイカルやダイエーなどかつてのライバルを傘下に収めた。金融や不動産開発など事業の多角化も進め、売上高8兆5000億円超、国内外で約2万2000店のグループ店舗数を持つ巨大企業に育てた。
創業家出身とはいえ、岡田元也氏は長期政権が自主性を重んじるグループ経営の弊害になっていると感じていたようだ。「誰も元也氏に『ノー』と言えない状態。自分の存在があまりにも大きくなりすぎていることを本人も理解しており、役員会ではあえて最後まで発言しないケースが増えていたようだ」(小売り関係者)。業界内では、「10年以上前から周囲に辞意を漏らしていた」という話もある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら