鉄道「踏切事故ゼロ」実現のために必要なこと 踏切ありの時速200km走行と新線建設は可能
まず「トリコ」対策を考える。昭和50年代に基本設計された障害物検知装置の大半はレーザーまたはループコイル式で、人を含む小さなものを検知できない場合がある。
そこで、全踏切に画像解析式ですべての支障物を検知できる障害物検知装置を設置し、障害物検知と非常ブレーキを連動させる。
ただし、小田急線の沿線火災脇に強制停止して延焼した事故や、新幹線車内での焼身自殺による非常通報時にトンネル外まで走行して事なきを得た事例を踏まえ、ブレーキ動作後も手動介入できる仕組みとする。
「無謀侵入」に対しては遮断強度の向上により激減できる。棹(さお)1本の遮断棹(しゃだんかん)でなく「踏切ドア」とするイメージだ。
それでも侵入してくる自動車はあるだろうが、近い将来にほぼなくなる。衝突被害軽減ブレーキの搭載がトラック・バスは2014年から順次義務付けられており、普通自動車も2021年から同様となる。自動ブレーキとも称せられ、ドライバーのミス・悪意どちらでも遮断された踏切に侵入できなくなる。
これにより、「踏切事故防止の抜本策は立体化」ではなくなる。全国に踏切は約3万3000カ所、国が緊急に対策の検討が必要と指定したものだけで1500カ所もある。道路との立体交差化に1カ所50億円要するとして、指定されたものだけで8兆円近く、すべての踏切に対策を講じたら160兆円以上かかる。
横断交通量が極端に多いか、列車を究極まで高頻度運行としたい踏切以外は、本提案を実行したほうが低コストで早期に安全・安心を広げられる。
踏切のある時速200km走行と新線建設を
「トリコ」と「無謀侵入」による踏切事故をともに激減・撲滅できるなら、現在時速130kmである踏切のある区間での最高速度を向上できる。そこで、踏切のある区間で事故の心配なく最高時速200km走行できるようにした在来線を「中速新幹線」と称しよう。
昭和40年代に構想された全国の新幹線ネットワークの完成は、フル規格新幹線の建設ではどんなに早くとも2140年となるのを、「中速新幹線」に改めることで2050年代にできる可能性が生まれる。
もう一歩踏み込むと、新線に踏切を認めることで高架・地下鉄でなく地平の鉄道を建設でき、工費を大幅に縮減できる。昭和30年代に計画・建設された根岸線・武蔵野線以降、新規の踏切は原則認められず、新線建設が高額となっていることを変えられる。
例えば、ひたちなか海浜鉄道や各地で構想される空港アクセス鉄道を現時点の想定の半分以下の工事費・工期で建設できるようになる。全国で鉄道の新線建設が次々に進み、便利な交通が低コストに実現し、社会で役立つようになってほしい。
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