障害に負けずパラ五輪目指す27歳女性の生き方 河合紫乃「もう一度、スポーツで輝きたい」

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初の国際大会となった2019年9月の世界選手権は予選敗退したものの、11月に行われたW杯では3勝し、手応えをつかんだ。同年12月からは障害者スポーツを積極的に支援するIT企業「ベリサーブ」に所属し、広報活動の一環として競技に専念することができるようになった。

「バドミントンで培った経験で、車いすフェンシングに生きていることは何か」と聞くと、「根性」と即答した。「諦めないことが自分の持ち味」と河合さん。また、「歩くことは、今でも諦めていない」と話す。医学の進歩によって、症状が改善する可能性があると信じている。

河合さんが2020年東京パラリンピックに出られるかどうかは、国際舞台で獲得したポイントによって決まる。2月にハンガリーで行われたW杯ではエペで19位と健闘した。今後、開催予定のアジア選手権で好成績を残すことなどが目下の目標である。日本代表は5月に決定する見通しだ。

「もちろん2020年東京パラリンピックに出ることが目標です。その先のパリ、そして次の大会も挑戦します。アスリートとして第一線で戦い続けたいのです。パラリンピックに出ているアスリートは現役生活が長く、50代でも頑張っている人がいます。この体になったからこそ、できるスポーツがあると思います」

「もう一度、スポーツで輝きたい」

また河合さんは、2020年東京五輪の聖火リレーで、富山県内を走るランナーに応募し、25人の1人に選ばれた。6月上旬には車いすで県内ルートを走る。

「私がしっかり走る姿を見せ、障害がある人にもない人にも元気や勇気を届けたいと思います。生きていることがつらいと思うこともあったけれど、『もう一度、スポーツで輝きたい』という気持ちです」

五輪とパラリンピックにかける意気込みを、明るい表情で語った。

故郷・富山での正月休みを終え、都内へ向かう河合さん(筆者撮影)
 
若林 朋子 フリーランス記者
わかばやし ともこ / Tomoko Wakabayashi

1971年富山市生まれ、同市在住。1993年から北國・富山新聞記者。2000年まではスポーツ全般、2001年以降は教育・研究・医療などを担当。2012年に退社し、フリーランスの記者に。雑誌・書籍・広報誌やニュースサイト「AERA dot.」、朝日新聞「telling,」「sippo」などで北陸の話題・人物インタビューなどを執筆する。最近、興味を持って取り組んでいるテーマは、フィギュアスケート、武道、野球、がん治療、児童福祉、介護など。

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