その後の日銀は、インフレ率が停滞する中で現状維持を続けたが、将来の正常化を見据えるスタンスを変えなかった。実際には、日本経済は緩やかながらも後退局面に入っており、利下げや量的緩和拡大など金融緩和強化が必要であったのではないか。そうであれば、「様子見」を続けたため、金融政策は景気引き締め的に作用していたと言える。
金融政策が引き締め的に作用していた中で、2019年10月からの消費増税によって、今度の財政政策は明確に緊縮方向に作用した。これが、2018年後半からの緩やかな景気後退、そして2019年10月からの日本経済の大きな落ち込みをもたらした、と筆者は診断している。
2019年後半から世界経済がやや持ち直す中で、日本経済だけが金融財政政策の失敗によって大きく落ちこんだ。2020年に世界経済の回復が続けば、日本経済の早期復調にも期待できる。ただ、2020年1~3月には、中国に起因する新型コロナウイルスの悪影響で、世界経済には成長下押し圧力がかかる。
中国経済との関係が深い、言葉を変えると同国への依存度が高い日本にとって、中国経済の減速は広範囲に影響するだろう。2月に入ってからは、コロナウイルス感染のリスクが高まり、外食、旅行産業など個人消費にさらなる下押し圧力が高まっている。2019年10~12月が大幅な経済の落ち込みとなり、さらに2020年1~3月もマイナス成長となり、2020年の日本経済はマイナス成長に陥るとみられる。
中国は威信かけ金融財政政策実施でも、日本は期待薄
今後、中国に関しては新型ウイルスによる、1~3月の経済の落ち込みは避けられないとみている。ただ、国家の威信をかけて、中国当局はウイルス対策、経済復調を目指すとみられ、成長率を押し上げる金融財政政策が実施されると筆者はみている。
一方、日本に関しては、ほとんど期待できないのではないか。消費増税による経済の落ち込みの要因を、台風などの一時的な影響と当局が述べている。これまでの経済政策が妥当ではなかったことを、十分認識しているようにはみられない。消費増税の下押しを軽視して、2020年1月の時点でGDP予想を上方修正していた日銀についても同様であり、それ故に筆者はほとんど期待していない。日本株市場にとって厳しい状況が、長期化するリスクを筆者は警戒している。
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