「スマホをなくした人」を襲う超面倒くさい事態 悪意のある人がいれば犯罪に巻き込まれる

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だとすれば、そうした事態を避けるためにはどうしたらいいのだろう? この問いに対して佐々木氏は、安易な数字や英数字の組み合わせなどは避け、なるべく複雑なパスワードや桁数の多いPINコードを設定することを勧めている。

複雑なパスワードを設定すれば、セキュリティー強度が格段に上がるからだ。

ネット上でさまざまなサービスを利用する機会が増え、スマホ画面のロック以外にも、みなさんが使うパスワードの数は急増しているはずですから、その管理も含めて考えるなら、信頼のおける利用者の多いパスワード管理アプリを利用して自動作成したほうが、自分で作るよりも安全かつ効率的にパスワードを運用できるでしょう。(74〜75ページより)

パスワード管理アプリは、アプリのストアで「複雑なパスワードの作り方」などで検索すれば簡単に見つけることが可能だ。

『あなたのスマホがとにかく危ない 元捜査一課が教える SNS、デジタル犯罪から身を守る方法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ただしパスワード管理アプリに限らず、信頼できない配信元からのアプリをダウンロードすると、一緒にウイルスが入ってしまうことがあるので、アプリの評判や配信元企業の信頼性をしっかり確認する必要がある。

また忘れてはならないのは、こうした管理アプリも、第一段階のスマホの画面ロックがしっかりしていればこそ機能するものだということだ。

スマホのロックが簡単なもので、なおかつパスワード管理アプリにログインするためのマスターとなるパスワードも単純なものだった場合、すべてのパスワードが一覧で見られてしまうことになる。

それではせっかく他のパスワードを自動作成した意味がなくなってしまうので、まず根幹となる部分のセキュリティー対策を講じるべきだという考え方である。

「自分は大丈夫」に根拠はない

「危ないといっても、まぁ大丈夫だろう」

「スマホの使い方はわかってるから」

「SNSはやらないので問題なし」

例えば、このように考えている人も多いだろう。しかし、実はそんな人ほど犯罪者に狙われているのだという。たとえスマホ慣れしていたとしても、悪意のある人がその気になれば、簡単に犯罪に巻き込まれてしまうわけだ。

佐々木氏は、「いま無事なのは、“まぐれ”でしかない」とすら言い切る。

そして、だからこそ「正しく怖がり、正しく向き合い、正しく活用する」ために、スマホ・SNS犯罪でいま起きていること、その対策、自分や家族を守るための方法を知っておくべきだというのである。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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