もしも、これまでのように、ずっと金利が変わらないと銀行なども考えているのであれば、全期間固定型であれ変動金利型であれ同じ金利を適用できるはずですね。けれども、現在の住宅ローン金利は、取扱残高12年連続1位の三菱UFJ銀行の例では、全期間固定型は1.63%、変動金利型は0.525%(2020年2月現在)で、その差は1.105%です。見た目でおよそ3倍の金利差があります。
この金利の差が、金利変動リスクの大きさを示唆しています。例えば、全期間固定型について、金利上昇時において増えるはずの利息を銀行などが取りっぱぐれる(ローン返済者側の返済額は変わらない)のであれば1.63%くらいの水準でなければ割に合わないと銀行などが考えているとします。
そして、ローンを借りた側が金利変動リスクを負う(ローンを借りた人に利息増加分も負担してもらい、金融機関がすべて受け取る)のであれば、当初は0.525%といった低金利にしたことで1.63%に比べて1.105%分もの利息をもらい損してしまうものの、後々金利上昇して増える利息をまるまる受け取れるならトントンになるだろう……という読みで値付けしていると考えれば筋が通ります。
変動金利型と全期間固定型の適用金利が乖離する動きが顕著になってくれば、数十年という長期間に及ぶ住宅ローン返済では、金利変動の影響は避けられないと銀行などが見立てていると判断してよさそうです。
金利上昇時に裏目に出る「変動金利型の3つの特徴」
変動金利型のリスクといえば「金利上昇時に毎月返済額がアップする」点を挙げる人が多いと思いますが、毎月返済額のアップ自体は、固定期間選択型に比べれば変動金利型はむしろ緩やかなくらいです。なぜなら、一般的な借り方(元利均等返済)での利用であれば“変動金利型ならではの3つの特徴”が適用されるからです。
変動金利型では、適用金利が年2回見直されるのが一般的です。そのため、金利見直しのたびに毎月返済額が変わると返済する側も大変だろうということで、毎月返済額は5年ごとに見直し(第1の特徴:5年ルール)、次の5年間は直前の5年間の125%まで(第2の特徴:125%ルール)、という仕組みを取り入れているのが主流です。
金利が全く変動しなかった場合の例【ケース1】と、10年間で3%のペースで徐々に金利上昇したと仮定した例【ケース2】で見てみましょう。
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