武漢の新型肺炎感染者「最大9万人」論文の衝撃 政府発表の約3倍、中国全土で最大14万人とも

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さらに、研究者は中国全土の感染者は8万4000~14万人であると推算する。

 また、武漢を離れた500万人の内70%が湖北省の他の都市に戻っていることから、湖北省の武漢以外の感染者は2万1000~3万5000人であることが推測でき、湖北省以外の感染者は9000~1万5000人ということになる。

 国家衛生健康委員会のデータによると、2月9日時点で中国全土の湖北省以外の省の感染者の合計は1万540人(全土の感染者は4万171人、湖北省の感染者は2万9631人)だ。

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 研究者は、湖北省以外の省では核酸増幅検査が追い付かないという問題が発生していないため、このデータは正確なものであると考えている。さらに、1万540人という数と、周教授らの研究により推算した9000~1万5000人という数は非常に近い。

  ほかにも、同研究は、武漢からその他の省に帰省した人は約150万人で、武漢の総人口1400万人の10%以上を占めていると指摘する。この数字からも、1月29日以前の0.3%という感染率は非常に控えめに見積もったものだといえる(150万人の0.3%はたったの4500人)。

病院のベッドの数がまったく足りてない

周教授らの研究が導き出した結論は2つある。

まず、感染者の治療に一段と力を入れなければならないということだ。最も控えめに見積もっても武漢には5.4万人の感染者がいる。現在病院にあるベッドは8000床強、これに(臨時の)コンテナ病院の2万床を加えても、実際に必要な数には遥かに及ばない。

そしてもう1つ。最も保守的な見積もりでは2月9日までに、湖北省の武漢以外の都市に合計2万1000人の感染者がいたことになるが、同日までに政府が発表した感染者数は1万2729人だった。この数字も、遅かれ早かれ更新されるだろう。

(財新記者:杜偲偲 ※原文は2月13日公開)

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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